クロニコ登場!カイバの第3話「クロニコのながぐつ」4話「ばあさんの記憶の部屋」の感想。ここから話は星めぐり話へ。
ネタバレ多いので注意。
カイバ第3話「クロニコのながぐつ」感想
3話のテーマは「記憶の売買によってもたらされた不幸」かな。
クロニコ(声:斉藤千和さん)は貧しいシャボ(シャボン)売りの少女。母・モカ(声:折笠愛子さん)は既に他界。叔母のネギ(声:玉川紗己子さん)、いとこのナル(声:うえだ星子さん)、コナ(声:遠藤尚美さん)の4人暮らし。
家計を助けるために、ボディを売る決意をするクロニコ。記憶をチップ化すれば、いつか家族が新しい体を買ってくれる…。しかし、その希望は無情にも絶たれるのでした。
ネギ叔母さんは家計のために本やピアノの記憶を売却。ピアノの記憶と密接に結びついていたクロニコ・ママとクロニコと三人で暮らしていた頃の記憶を思い出しにくくなっていたのかな。もしかしたら「楽しい記憶」も売ってしまったのかも。
懐かしい音楽を聞いたり、昔の写真を見て「ああー、そういえばこんなことあったねー。忘れちゃってたけど」っていうことがよくあるのでなんとなく共感。
思い出せないことによって、クロニコへの愛情まで忘れてしまうネギ。記憶の売買さえなければこんな不幸はなかったはず。
そもそもネギ叔母さんも悪い人じゃないのよ。
モカとクロニコとネギ叔母さんの三人でピアノ・セッションしてた頃は、それなりに裕福。モカからクロニコを託された後、なんらかの原因で貧しい生活に。
荷車で鉱物を運ぶ仕事でクロニコを養うネギ。いい暮らしをしていたネギには辛かったろうけど、クロニコと二人の生活のためなら平気。それよりクロニコに長靴一つ買ってやれないことが辛い…。
ネギは危険だけれど収入のいい仕事を決意。しかし、その仕事で両腕を失ってしまうのでした…。 でもその仕事で入ったお金でクロニコに新しい長靴を。喜ぶクロニコの笑顔を見て、本当にうれしそうなネギ。ネギのことを「お母さん」と呼ぶようになるクロニコ。
ここらへんまでは貧しくても幸せだったわけで。
ネギは仕事で知り合った男性と結婚。ナルとコナの二人をもうけるも、夫は他界。ネギは子供達3人を養う生活に困って本とピアノの記憶を売る。
こういう流れですね。
クロニコの住む惑星トトはオリジナル・ボディの売り買い拠点…って貧しい人が多い星なのかも。怪しい売人達がボディの売り買いをしてる星。
クロニコが売り物のシャボで遊ぶ光景がマッチ売りの少女を彷彿とさせました。とてもきれいで寂しいシーン。ボディを売ることに不安を覚えつつも「新しいボディを買ってもらえる」と話していたクロニコ。あれはカイバにじゃなくて、自分に言い聞かせていたよね。
記憶抽出施設の人はクロニコの気が変わらないように記憶を改ざんしたみたいなことを言ってましたが、これはネギ叔母さんと「クロニコの記憶をチップ化しない」話がついていたという意味かな?
記憶のチップ化にもお金がかかるだろうし、ネギおばさんにはあの時点でこれ以上クロニコを養う気がなかったわけだから。
その後クロニコのボディは買い手が決まるまでゴミ捨て場(?)に放置。あんなところに放置しても持っていかれないほど平和で素朴な田舎惑星なのか!? なりゆきでカイバに持っていかれるし。
クロニコを売ったお金で自分の記憶を買い戻したネギおばさんが、忘れていたクロニコとモカの記憶も思い出して、自分の仕打ちを後悔して号泣するシーンは哀しすぎます…。
ネギおばさんがピアノで弾いていた曲が「the tree song」のインストver.ですね。DVD第1巻についているサントラの曲名をみたら、「the tree song」は3バージョンも収録されています。曲名は こちらを参照。オリジナル、「ルルルル」スキャット、アカペラの3つ。これ以降いろんな回で使われていて、この挿入曲が流れ出すと…。
作詞作曲、歌唱担当のminako 'mooki' obataさんのブログによると、サントラの単品発売はないと明言。欲しい人はDVD「カイバ Vol.1」を買うしかないのね。
記憶が抜かれたクロニコ・ボディの記憶をホーレイトーで見ようとすると、真っ黒(空っぽ)になっているシーンが怖いです。怒りで震えるカバ・カイバの手。わかる、わかるよー。
今まで乱暴で小市民な面しか見えなかったバニラが、今回クロニコを守るためにいいカッコしてます。クロニコがバニラの好みど真ん中なんですよね。キラキラのクロニコ見返りシーンの古典的なひとめぼれ演出に笑ってしまいました。
カイバ4話「ばあさんの記憶の部屋」感想
今回のテーマは「幸せのあり方」。記憶がテーマじゃないように感じます。
灯台がある小さな惑星に降りるクロニコとバニラ。この惑星「重力が小さい」とアナウンスされていて、クロニコもバニラも歩くときは地表をはねるように歩いています。
でも見た感じでは、お婆さん(声:鈴木れい子さん)の孫のケラとポリ(ともにCV:岩永哲哉さん)は普通に歩いてる。これが伏線になるなんて…。
2話でカイバのカバ・ボディの横腹がカーバイルでえぐられた跡を、治してくれるお婆さん。そのあと修理代を要求するあたりちゃっかりしてます。でも確かに「タダってわけにはいかない」よね。
外に出ることを夢見て、おじいさんが残した財宝を探すケラとポリ。「財宝」は予想通りのオチです。
おばあさんがおじいさんの死を認めなかった理由、それはたぶんおじいさんが亡くなった理由を知っていたから。 灯台の下で花を握ったまま亡くなったおじいさんを見て、何があったか全て悟ってしまったんでしょう。
あの花は昔おじいさんがおばあさんに贈った花。その花を再び見つけたおじいさんは、おばあさんを喜ばせようと思って花を摘み取ろうとした。そして足をすべらせて…。
要するに、おじいさんの「おばあさんへの愛」が死の原因になったわけ。おばあさんはおじいさんとのささやかな生活がなによりの幸せ。愛情こそが二人の生活を引き裂いたことを認めたくなかったのですよ。
そしてあの花は、100年に1度しか見かけなかった珍しい花ではなかったですね。クロニコとバニラが最初歩いている風景に咲いていたみたいだし、お墓の裏側の目に付かないところにも咲いていた花。
どこにでもあるささやかな花でも、愛する人が贈ってくれたら大切な花になる。きれいな花だと感じればありふれた花ではなくなる。つまりは心の有り様で幸せを感じることができるという話。
しかし孫のケラとポリはまだ若く、そこまで達観できなかったのでした。はい「the tree song」入りましたー。
重力が小さいところで過ごしていると、筋肉は衰え、骨密度も減ります。つまり重力の小さいこの星で生まれ育ったケラとポリが、この星を離れることは…そういうことです。
今回はサン・テグジュペリ「星の王子さま」を思い出しました。小さな星の雰囲気もそうだし、王子さまとバラの関係も「何が大切か」というエピソードだし。
星の王子さまも、世界でたった一つだと思っていたバラが他の星にたくさん生えているのを見てがっかりするけど、自分が大切に世話をしたバラは他のどの花でもなくあのバラだけだと気づくのです。いい話なので、挿絵で敬遠していた人は読んでみてね。
ところでカバのパントマイムがよかったです。おばあさんの記憶の部屋で白紙本だらけでプルプルするカバ。全部チェックしたけど全て白紙で「どーすんだよ、コレ…」ってかんじのシーン。そして「灯台」のパントマイムもおっさんぽくって好き。
モコモコしてて、メタボなボディが妙に魅力的です。それなのに5話で…ああー。
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