「TIGER & BUNNY(タイガー&バニー)」第3話「Many a true word is spoken in jest.(嘘から出た真実)」の感想です。

1話・2話で世界観・設定説明がほぼ終了。おじさんの虎徹と若い新人バーナビーの対比と対立の説明も終わったので、3話からは「二人は案外似たもの同士」ということが明らかになってきました。

二人は問題解決のための過程や手法は異なるのに、なぜか似たような結論に達しているところが面白いですね。

派手なアクションはほとんどない回ですが、おじさんとバニーちゃんがスタイリッシュ(?)に爆弾処理するシーンでニヤついてしまいました。バニーちゃん足長い!


戦闘練習のシミュレーションで意見が合わない虎徹とバーナビー。

どちら側から突入するかでもめます。理論的にデータを元に「右から」を主張するバーナビー。カンで「左から」を主張するタイガー。

ワイルドタイガー:も、どっちでもいいだろ?
バーナビー:なら右で
ワイルドタイガー:左だ!

なんでこう、お互い主導権をとりたがるのか。どちらかが譲ればいいのに、どちらも譲らない。

「先輩の意見には従え」と説教する途中で、あっさり狙い撃ちされ倒れて伸びてしまうタイガー。いいとこなし(笑)。

バーナビー:いいかげん、バニーって呼ぶの止めて下さい

「言わんこっちゃない」的に呆れ顔で、それでも言いたいことは言うバーナビー。

バーナビー:シミュレーションなんて嫌いなんです。実戦じゃないと本気になれませんから!

しかしこの戦闘練習は虎徹の希望というより、上司のロイズさんの発案。「コンビが売りなのに、息が合ってない」と二人に注意するロイズさん。叱られるのはバーナビー…じゃなくて、もちろん先輩である虎徹。

ロイズ:君が若い彼を引っ張っていかないでどうするんだ! キャリアだけで言えば、君の方が上なんだし。

もっともです、至極もっともです。これには反論できない虎徹。

「シミュレーションは緊張感がなくて苦手」と主張する虎徹に対して、ロイズさんの「嫌なら辞めて貰ってもいいんですよ」攻撃。

結局ロイズさんの提案に従って、コンビの連携を強化するために一緒に戦闘シミュレーション。その結果がこれ。

中間管理職ロイズさんも大変ですね。

この場合表面上はうまくやってる新人バーナビーより、この仕事10年目で周りを見る余裕があるはずの虎徹を叱るのは当然。

若いバーナビーに「先輩に合わせろ」と叱っても、「上手くやってるのになぜ叱られるのか? 」と理解できずにふてくされる可能性もあるし。

若者はほめて伸ばしつつ、先輩には「お前がしっかり手綱を握って、必要とあらばフォローもしろ! 」となるわけです。

ただこれ、バーナビーの前で虎徹を叱るのはどうかと思いますけどね。

そしてヒーローTVの取材で、バーナビーの密着ドキュメント。

ロックバイソン、ファイアーエンブレム、スカイハイと、バーナビーより年上だと思われる大人組の、「バーナビーの印象について」の大人なコメントの中で、ひときわ際立つタイガーのコメント「特にない」。

怒るアニエスに、視聴者のギモンを代弁する虎徹。

タイガー:俺よりスカイハイに言えよ!なんだよ!?
スカイハイ:えっ?
タイガー:「ありがとう、そしてありがとう! 」って
アニエス:いいのよ!彼はあれで。
スカイハイ:えっ?
アニエス:天然が持ち味なんだから。

空気読めない天然系のキャラって、「場の雰囲気を壊すタイプ」と「場をなごませるタイプ」の2通りいますが、スカイハイはなごみキャラ。

ヒーローとしての仕事は「キング・オブ・ヒーロー」として完璧にこなしているので、少々の天然コメントは人間味や愛嬌になるわけです。これが仕事できないとそうはいかないけれど。

アニエスは敏腕プロデューサーだけあって、そのへんよくわかってますねー。スカイハイ本人の持ち味をちゃんと生かして、好感がもてるキャラとして演出する手腕。しかし、本人の前で言うな(笑)!

ヒーローTVはバーナビーの家まで押しかけたので、今回バーナビーがどんな暮らしをしているのか少しわかりましたね。

見晴らしのいい広い部屋。壁面の巨大ディスプレイ。きっちり片付けられて物がほとんど置かれていないのは几帳面な性格だからでしょうか?

そしてある事件で両親を幼少時に失い、マーベリックCEOに引き取られた事。

若い頃のマーベリック:大丈夫。君はもう一人じゃない

最初見たとき、今のマーベリックCEOと若い頃のマーベリックさんが同一人物とは思えませんでした。変わり過ぎ、というか太りすぎ。

しかも、なんとなく悪役顔。あやしい。

ニュースでマーベリックCEOを見て昔を回想して、つぶやくバーナビー。

バーナビー:俺はいまだに一人ですよ…

いきなりのぼっち宣言。友達いないの、バーナビー?

次の日、バーナビー&タイガーのプライベートの1日撮影開始。もちろん虎徹はオマケ。ファンサービスに徹するバーナビー。

バーナビーファンのちびっこ達にせがまれるままサインをしたり、女性ファンと一緒に写真をとったり。

レストラン店員:ねえ、あれバーナビーじゃない? かっこいいー!!
バーナビー:ふっ(髪を手でかきあげる仕草)
レストラン店員:ああーっ(歓声)!!
虎徹:おまえ、そういうの疲れない?
(中略)
バーナビー:別に、全て仕事ですから

テレビ取材のコメントが下手で、ファンサービスも下手な虎徹との対比が激しいです。

虎徹は「ヒーローの仕事=市民を守る事」と考えているので、その他の「営業仕事」は苦手というか軽視する傾向があるようですね。

バーナビーはヒーローという仕事を、そういうファンサービス的な営業も含めて考えているので割り切れるのでしょう。

バーナビー:ねえ、先輩
虎徹:なんだよ、キモイ

テレビカメラが回っている場では、ちゃんと虎徹を「先輩」と呼ぶバーナビー。営業用のキャラ作ってますね。

対する虎徹もなんとかキャラを作ろうとするものの…。

虎徹:あれは、ビルって奴だ
バーナビー:じゃあ、あっちのは?
虎徹:あれもビルだな。ついでに言うとその隣の建物がビルで、その手前に建つ建物もビル。
    ま、こっから見えるビル的な建物は全部ビルだな。
アニエス:真面目にやんなさいよ!

明らかにやる気がない、というかビルの名前は知らない(会話にならない)から、そんな話題を振るなという意思表示(笑)。

私だって勤務先の周囲のビルの名前なんて、よほど変わった建物じゃなければ知りませんよ。

バニーちゃんももう少しマシな話題を振ればいいのに、普段会話がないからおそらくどんなネタをふればいいのかわかってない。

むしろ計算で「虎徹が答えにくい話題をあえて振ってる」なら意地悪すぎますが、たぶんそれはないでしょう。

そこに爆弾事件発生。

しかけられた時限爆弾を見つけたのはタイガー。バーナビーは虎徹から爆弾を見つけた経緯を聞いた後、

バーナビー:なるほど、あなたにしては上出来ですね
虎徹:えっ、なんで上から目線なんだよ!

「さすがですね、先輩」と素直に言えばいいのに、言わない。カメラが回っているときとキャラが違いすぎる…(笑)。

虎徹:さあ、どうするバニー?

シミュレーションのときも、このセリフで聞いてましたよね?

あのときは練習。今度は実戦、どうするバニー!?

しかし、バーナビーはあわてず騒がず。爆弾処理技術も習得済み。爆弾処理は自分に任せて避難するよう虎徹に勧めるけれど…

虎徹:ばーか、相棒を残して一人で逃げるほど落ちぶれちゃいねえよ!

失敗すれば命が危ない、「逃げてもいい」と逃げる理由も与えた。それでも、いつもと同じ浪花節の虎徹。主張は全くブレません。

もしかしたらバーナビーは虎徹を試す気持ちもあったのかな? 虎徹の答えに「古臭い」と言いつつ、口元がゆるむバーナビー。

表情は見えないけど、たぶん苦笑い。相変わらずだなって。でもかすかにうれしい気持ちもあったと思いたい。

刻々と過ぎる時間の中、なんとかあと1本線を切ればいいところまで処理をすすめるバーナビー。

しかしそこにはトラップ。上か下か。もしも間違った方を切れば失敗。迷うバーナビー。

虎徹:上切れ、上
バーナビー:根拠は?
虎徹:じゃあ、下
バーナビー:カンで言わないでください!
虎徹:俺のカンは当たるんだよ!!
バーナビー:巻き添えは御免です!!

セオリーで考えても上を切るか下を切るか判断がつかないバーナビーに

虎徹:おい、上だ!!

と言い出す虎徹。ハンドレッドパワーを発動した虎徹を見て、瞬時にその意図を悟るバーナビー。

時間切れギリギリで、なんとか事件解決へ。

虎徹は「カン」と言うより、正確にいうと「経験に基づく判断」だと思いますね。「上切れ、上」は根拠のないカンだと思うけど(笑)。

できるだけ犠牲を少なくして爆弾を処理する解決策は、何も「爆発物の解体」だけではないってことです。

今やるべきことは、市民と自分達の命を守ること。それさえはずさなければ、どんな方法で解決してもいい。

バーナビーが学んできた正攻法の技術は、たしかに役に立つけどいわゆる「頭でっかち」な側面もあります。

例えば、資格試験のテスト問題なら、解答を導き出すために必要な情報は全て提示されています。

でも実践ではそうはいかない。必要な情報や道具が足りない事も珍しくない。決められた手順が使えない事も。

それを補うのが経験。

バーナビーがデータや知識に頼るのは間違いではありません。まだ経験がないのに、カンに頼って仕事をするのは無茶です。

虎徹には10年のヒーロー経験があるので、ある程度は蓄積した経験によるカンに頼っても大丈夫。セオリー無視でも結果が出せればいい世界ですから。

多少のミスはハンドレッドパワーで補ってしまうから、慣れで仕事してる面もあるのでしょうが。

バーナビーに「おい上だ!!」の意味がすぐに通じた事、自分達は似ているところもある。バーナビーに親しみを感じる虎徹。

バーナビーはそんな虎徹の気持ちを全面否定。おじさんと馴れ合うのは嫌なようです(笑)。そんなバーナビーに

虎徹:ほんっと、お前かわいくないな! ウサギのくせに
バーナビー:はぁ?

はい、おじさん気を許しすぎ。バニーのツン発動。コント開始。

バーナビー:だいたいあなたは詰めが甘いんですよ。天井を破るなんて短絡的すぎる
虎徹:どう考えても爆弾蹴る方がおかしいだろ。爆発したらどうすんだよ!?
バーナビー:頭が固いな、おじさんは
虎徹:何ー!!??

まだガチガチのセオリーどおりにしか動けないバニーちゃんに「頭が固い」とか言われたくないですよねー。

おじさんの詰めが甘いという点には同意。どうしてここまでバニーちゃんと距離を詰めておきながら、共感や尊敬の念を引き出せないのか?

おじさんは自分プロデュースが下手すぎます。

仕事が終わって、アントニオ(ロックバイソン)とバーで飲む虎徹。この二人やっぱり仲良しさん。

そこに流れる、ヒーローTVでのバーナビーの密着ドキュメント。そしてアニエスの指示通りに虎徹が言わされたコメント。

虎徹:えっ、バーナビー君? 最高のパートナーですよ
   こう見えて俺達、結構似てるところがあるんです

言わされてる感満載でしたが「特にない」よりはずっといいですね(笑)。

「正義の壊し屋」と言われるほど「市民を守る」という目的のためには、解決方法が大雑把なワイルドタイガー。

悪い人じゃないし、仕事もそこそこできるけど、「あの人はちょっと…ゴニョゴニョ」と言われそうなタイプですね。

能力がハンドレッドパワーだから、細かい事を気にしなくても仕事はそこそこやれるのが問題なのかも。仕事も10年目でなあなあ気味。

誤解されやすいタイプですね。

バニーちゃんはそこそこコミュニケーション能力ありそうだけど、むしろハンサムというスペックで得してるタイプ。

ロイズさんとの会話とか見てると、普通に新人さんという印象です。計算高くて、裏表あるし。

でも爆弾を蹴ったり、意外と大雑把なハンドレッドパワー頼みの行動が出てくるのは、やっぱり虎徹と似た者同士なんですね。

全く同じじゃないけれど、似ているところもある。これってけっこう仲のいい友人の条件という気がしますね。

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