「TIGER & BUNNY(タイガー&バニー)」第1話「All's well that ends well.(終わりよければすべてよし)」の感想です。

「TIGER & BUNNY」の舞台は、特殊能力者「NEXT」の中で選ばれた者たちが、司法局の認可とスポンサー企業の援助を受けて「ヒーロー」として街の平和を守る近未来都市、シュテルンビルト。

ヒーローは市民を守る役割だけではなく、エンターテイメントレスキュー番組「ヒーローTV」で、ヒーローポイントを獲得してナンバーワン・ヒーロー(MVP)となり、スポンサー企業のイメージアップに貢献する企業人な側面も持つ。

主人公はヒーローとして10年選手でかつては人気ヒーローだったものの、すでに「峠を越えた感」のあるワイルドタイガー、鏑木虎徹。

さらにワイルドタイガーと全く同じ能力を持つ、若き新人ヒーロー「バーナビー・ブルックス・Jr.」の登場。

虎徹を「おじさん」とよばわりする、クールで生意気な新人バーナビー・ブルックス・Jr.とコンビを組む事になった中年ヒーローの明日はどっちだ!? 的なアニメです。


第1話はどのアニメも設定説明やキャラクター紹介で尺をとられるものですが、「タイガー&バニー」はかなりうまくやってます。

構成もしっかりしてますが、会話の使い方が上手いですね。

冒頭の現金輸送車強盗犯の逮捕劇で、各ヒーロー達のキャラクターと能力がごく自然にわかりやすく説明されてます。

「ヒーローTV」の実況アナウンサー、マリオの声は太田真一郎さん。テレビ番組のナレーター仕事でよく聞く声です。

90年代の人気料理バラエティ番組「料理の鉄人」の実況リポーターの人、といえば「ああ、あの声」とわかる人が多いかも。

ワイルドタイガー:俺達ヒーローは、平和を守れりゃ、それでいいんだよ!!
ワイルドに吼えるぜ!!

5分間だけ身体能力を100倍にパワーアップできる能力を持つヒーロー、ワイルドタイガー。

いわゆるスーパーマン的な能力なので、考えるより先に動くタイプ。

なまじ身体能力があるから、あまり考えなくてもなんとかやってこれたのでしょう。

とにかく「市民を、平和を守る事」それがワイルドタイガーのポリシー。

身にまとっているヒーロースーツもレトロというより、アナクロ(時代錯誤)なスーツ。

スーパーマンとバットマンを足して2で割った様な…アメリカンヒーローっぽい青いスーツです。

犯人確保のためには、モノレールのレールを曲げたり、窓ガラスを割って突入も辞さず。まさに正義の壊し屋。毎度賠償金がかさんでいるようです。

ヒーローTVの敏腕プロデューサーのアニエス・ジュベール(声:甲斐田裕子さん)の「CM明けを待つように」の指示も無視。

タイガーの活躍(笑)で、犯人が乗った飛行船が墜落して海上の客船に激突しそうに。

強盗犯:助けてくれー、スカイハイ!
ワイルドタイガー:きたぞ! ワイルドタイガーだ!!
強盗犯:いやぁ…スカイハイを待つよ…
ワイルドタイガー:うるせー! 俺で平気だよ!!

墜落すれば命が危ない、そんな場面で強盗犯が一人の人間として助けを求めるのが「キング・オブ・ヒーロー」スカイハイ。

ワイルドタイガーだと…ちょっと、いやかなり不安(笑)。

しかし、そんな局面を救うのが「ヒーロー界のアイドル」ブルーローズ。

ブルーローズ:私の氷はちょっぴりコールド、あなたの悪事を完全ホールド!

露出度高いヒーロースーツ。Sの入った台詞回し。

ワイルドタイガーがなんとか確保した犯人が逃走。銃を撃ちつつブルーローズに襲い掛かろうとする強盗犯。

マリオ:おっと炸裂ー! キューティーエスケープ!!

普通に逃げてるだけですが、露出度の高いブルーローズのヒーロースーツだと銃弾が当たれば怪我をするから仕方がない。

ワイルドタイガーが強盗犯を再度確保しようと高くジャンプしたところで、まさかのハンドレッドパワー切れ。

凍った地面に激突寸前、謎の男にお姫様抱っこで救出されるワイルドタイガー。

ワイルドタイガー:あれ…誰だお前?
謎のヒーロー:無理はいけませんよ

そして鮮やかに強盗犯を確保。あっけにとられるワイルドタイガー。

連行される犯人を見送りながら、ワイルドタイガーのお説教。

タイガー:ヒーローってのはな、正体を明かさないのがヒーローなんであって…
謎のヒーロー:古いな
タイガー:えっ?
謎のヒーロー:あなたはもう時代遅れなんですよ、おじさん

見事にタイガーのポリシーを全面否定して、立ち去る謎の男。

ヒーローTVで今期の表彰が始まる頃、ワイルドタイガーは上司のベン・ジャクソン(声:宝亀克寿さん)からお小言。

いろんなものを壊さなくても、市民を守れたはずだというベンさん。

ベン:じゃ、どうして壊した? あれいくらかかるか知ってる?
タイガー:そんなの気にしてたら平和なんて守れないっすよ
ベン:それを気にしてくれなきゃ、俺がお前を守れないんだよ
タイガー:いつもすんません
ベン:誰のおかげでヒーローできてるか、わかってるよな?
タイガー:スポンサー様です
ベン:よーし、行って来い表彰式へ

優しい上司じゃないですか、ベンさん。

こんな短い会話でも、ベンさんと虎徹がこれまで培ってきた信頼の絆が伺えます。

「正義の壊し屋・ワイルドタイガー」は企業としては賠償金やらなんやら困るけど、ベンさんはワイルドタイガーのヒーローとしての姿勢を理解し、影に日向に支えてくれてきたのでしょう。

今期MVPはスカイハイ。

スカイハイ:みなさんの応援のおかげです。ありがとう、そしてありがとう!

さすがはKOH(キング・オブ・ヒーロー)。でも挨拶がちょっとヘンかも(笑)。

そしてアポロンメディアCEO兼OBC社長のアルバート・マーベリック氏(声:福田信昭さん)が、司法局の認可を受けて来期から働く新人ヒーローのバーナビー・ブルックス・Jr.(声:森田成一さん)を紹介。

さっきのお姫様抱っこの謎のヒーローは、新人ヒーローだった…。しかも能力はワイルドタイガーと同じく5分間のハンドレッド・パワー。

マーベリック:間違ってもお姫様抱っこされるようなヒーローにはならないように

この嫌味なセリフにムッとして、打ち上げ会もスルーして帰る虎徹。

そんな虎徹を心配して、打ち上げ会の最中虎徹のスマートフォンに電話を入れるロックバイソン。

虎徹のスマートフォンの着信画面がロックバイソンの本名の「アントニオ」で牛の画像、虎徹に電話をかけているロックバイソンの着信画面が「虎徹」で虎の画像。

MVP表彰式での軽口の会話かげんといい、虎徹とロックバイソン(アントニオ)は仕事を離れたプライベートでも親しい様子。

ヒーロー業をやりやすいように、お偉いさん達に挨拶しておいた方がいいというロックバイソンの忠告を軽く流してしまう虎徹。

他のヒーロー達はというと…

ヘリペリデスファイナンス代表:今日の見切れ方最高でした、次回もおねがいしますよ
折紙サイクロン:バッチリ企業名アピールするでござる! あ、いや…しますから

こんなのとか、

ブルーローズ:社長! あの決め台詞、恥ずかしいんで変えちゃだめですか?
タイタンインダストリー代表:あの上からなかんじが人気なんだよ。ふっ、わかってないねえ

こんなふうに、若いヒーロー達もスポンサーと上手くやってるかんじ。

ちょっと妙なノリだけど、若いヒーロー達にはお偉いさんたちもわりと甘いのかも?

タイタンインダストリー代表なんか、若い女の子としゃべれて楽しそうなおじさんノリ(笑)。

帰宅した虎徹に、娘の楓(声:日高里菜さん)から電話。明日の楓のスケート発表会を見に行く約束。今まで仕事でさんざん約束を破ってきたようで、娘からの信用はない様子。

そして年老いた母・安寿(声:定岡小百合さん)の心配事。虎徹は娘に父親がヒーローだと明かしていない。もし虎徹に何かあったら…。

どうも虎徹の実家は祖母(虎徹の母)と孫娘(虎徹の娘)の二人暮らしのようで、写真立ての写真に写っている虎徹の妻らしき人は…故人のように見えます。

愛娘のスケート発表会に絶対行く! と堅く約束する虎徹。

しかし翌日、虎徹が出社すると「ヒーロー事業部撤退のお知らせ」の貼り紙が。

上司のベンさんは失業、虎徹は今までの職場「トップマグ」から新しい職場「アポロンメディア」へ移籍が決定。

ベン:俺は、これからもずっと、ワイルドタイガーのファンだからな

ああ、ベンさん…。

率直でやさしいベンさんに替わって、アポロンメディアの新上司ロイズさんは慇懃無礼タイプ。

ロイズ:君がワイルドタイガー? ああ、トラテツって名前だからタイガーか
虎徹:「こてつ」です。鏑木虎徹(かぶらぎ・こてつ)
ロイズ:ふーん
ロイズ:じゃあ、開発部でスーツの説明を受けてもらおうか
虎徹:いや、今日からって聞いてないんですが
ロイズ:嫌なら辞めてもらってもいいよ
虎徹:やります…

名前の読み間違いは、ものすごく失礼な事。たとえ上司→部下でも間違えたら即非礼をわびるものですが、ロイズさんは「ふーん」。

アポロンメディアにおける虎徹の地位が、その程度のものだというのがよくわかりますね。

企業人として「我が社の大切なヒーロー」でもなく、個人的にもどうでもいい存在。ロイズさんにとってはヒーロー「ワイルドタイガー」はその程度なのです。

「嫌なら辞めてもらってもいいよ」につきるわけですね。

そんなとき事件発生、ワイルドタイガー出動!

ロイズ:これからは新しいスーツで活動してもらう
虎徹:んなことできるか! …です
ロイズ:何か不満でも?
虎徹:俺は自分のスーツ以外、着るつもりはありません
ロイズ:安心して、性能は君が着てたものよりはるかに上だ
虎徹:そういう問題じゃないんです。
   俺にとってヒーローってのは、あのスーツじゃなきゃダメなんです。
   あの姿は俺の憧れの…
ロイズ:いいから、早く行きたまえ

そんなわけで、新スーツ・新バイクで出動するワイルドタイガー。

ワイルドタイガー:意外にいいな、コレ

旧スーツにこだわってゴネていたわりには、軽いノリ。

ロイズさん曰く、これからは誰かと組んでの仕事になるとの話。「ヒーロー界初のコンビ結成」で売り出していくとのこと。

一体誰と組むのか? 訝しがる虎徹の目の前で、上から降ってくるロックバイソン。

ロックバイソン:痛ってえ、やっぱ一人じゃ無理か
ワイルドタイガー:ええっ、お前!?

ここでエンディング。そしてエンディング後のCパート。

バーナビー:行きますよ、おじさん
ワイルドタイガー:えっ、お前か!?

かなりテンポがいいストーリーで情報がぎっしり詰まった第1話。ストーリーは2話に続いて、前後編になってます。

大人向けのドラマのノリが心地よくて、面白いです。

第一印象最悪の新人と上手くやっていけるのか、ワイルドタイガー!?

マーベリックさんのバーナビー贔屓は、「若いハンサム新人ヒーローを売り出すためかな? 」と思ってましたが、後にバーナビーとは特別な関係にあることが判明します。

年齢的には「おじさん」とはいえ、ヒーローとしての経験豊富なワイルドタイガーとコンビを組ませた、というのはたぶんマーベリックさんの意向のはず。

やはりバーナビーを心配して、経験豊富な年長者とコンビを組ませたと見るべきでしょうか。

話が進むにつれて、マーベリックさんはどんどん怪しくなっていくのですが…。

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