ようやく全てが種明かしされた「LUPIN the Third -峰不二子という女-」最終回。
「今まで登場してなかった人物が、今までの物語の全ての鍵を握っていたというのはどうなの? 」とご不満の人もいるようですが、「LUPIN the Third -峰不二子という女-」は謎解きものや推理小説ではありませんから。
とにかく先読みしたいタイプや、展開予想をする人には不評なのかな? 私は個人的にはアリだと思いましたよ。
細かい点を除けば、物語はわりときれいに風呂敷をたたんで終わってましたよ。
LUPIN the Third -峰不二子という女- 第13話「峰不二子という女(後篇)」感想
前回ラストのアルメイダとの対面から始まった最終回。
ルパン:違うだろう、峰不二子。あんたはこんなことでひるむ女じゃあない
アルメイダの言葉に床に倒れてしまう不二子。しかしルパンの言葉に自分を取り戻す。
不二子:そうだわ…私が殺すのは私なんかじゃない
アルメイダ伯爵:不二子
不二子:私が殺すのは…ルイス・勇・アルメイダ。私は私の悪夢をここで終わらせる!!
アルメイダのフクロウのマスクを銃で吹き飛ばすと、その顔はミイラ。今まで話していた伯爵が、もうずっと前に死んでいた!? 困惑する不二子。
ルパンに言われてかかとを確かめると、「過去の記憶」にあったはずの焼きごての跡がない。
説明しようとするルパン達のいる部屋に、流し込まれるフロイライン・オイレ。次元は吸ってしまい、ルパンを敵と誤認する。逃げ出すルパン。
女たちは不二子の姿に変えられており、オスカーもまた「不二子」の記憶を。銭形に銃を向けるオスカー。銭形の説得の言葉もオスカーには届かない。
女達に追われる不二子。しかし五ェ門が追っ手を阻む。そこに次元登場。ここでようやく次元VS五ェ門キター!!! マグナムVS斬鉄剣!!
それはさておき、ここで五ェ門が不二子にいった言葉。
五ェ門:そなたの本当は…拙者のガールフレンドだ
五ェ門は峰不二子という人物の本質を見極めることを望んでいたけれど、結局それがムダだと悟ったのでしょう。
不二子に限らず、一人の人間にはいろんな側面があり、どれが本質でどれがペルソナだとはっきり分けられるものではない。ペルソナもまた本人の一部。
五ェ門が「可憐だ」と思った淑女な「マリア先生」も、男を弄ぶ「まごうことなきアバズレ」もどちらも不二子。
だから不二子を自分(五ェ門)との関係性で見ることにした、と。不二子がどう思っているか、ではなく五ェ門が不二子をどう考えるかの関係性。
知らない仲ではなく、単なる知り合いというほど浅くもなく、かといって恋人でもない。敵ではなく、味方とも言えない。この関係性を一言で説明するなら…「ガールフレンド」ということになるのかな。
恋人という意味の「ガールフレンド」ではなく、3話「淑女とサムライ」で不二子が「サムライフレンド」の「フレンド」を「仲間」と説明した感覚でしょうね。
ルパンと共に、塔の上に隠された部屋にたどりつく不二子。そこには少女アイシャがベッドにいた。
全てを説明するルパン。ルイス・勇・アルメイダ伯爵は自分だけの聖なる少女を作り上げるために、多くの被験者に実験を繰返していた事。伯爵はその中でフリッツ・カイザー博士の娘アイシャに目をつけた。
その頃、次元と五ェ門の対決は佳境へ。
次元:野郎、やりやがるな。だがこいつでトドメだ
(弾丸の軌道に変化を加えて撃つ次元。太刀筋を変えて弾丸を斬り捨てる五ェ門)
次元:くそう、太刀筋を変えやがった
五ェ門:…できる
この前後は気合の入ったアクションでしたよ。
説明するルパンたちの前に、フクロウ頭の男が登場。しかしその正体は…。
繰り返し行われた実験の中、アイシャは意識障害を起こして寝たきりに。話しことも、動くこともできなくなってしまう。
その後、アルメイダ伯爵死亡。伯爵の死後も、アイシャは少女達に実験を続けた。そして死期が近づき、自分の可能性を確かめたくなったアイシャ。
「もしも自由に動くことが出来たなら、伯爵の死後自分はどんな人生を歩んだのだろうか? 」おそらくアイシャが知りたかったのはそういうこと。
アイシャは伯爵の影響から逃れて、自分の人生を選び取っていく自分の姿を見たかったのだと思います。
アイシャはさらってきた少女達に、自分の記憶を入れ込み伯爵への恐怖を植えつけた。そして解放。しかし少女達は解放されたとたん発狂、自殺そして死亡へ。アイシャが望む「if」の人生を見せることはできなかった。
そんなとき不二子は新しいメイドとして、アルメイダ伯爵邸へ来た。そしてアイシャの実験を受けて解放された。
不二子は今までの少女達と違って、解放後に泥棒やセックス遊びに興じ始めた。アイシャはそれを自分の「if」として喜んだけれど、不二子が「アイシャの記憶を自分の意思で封印」して行動し始めたことを知って、不二子を憎悪し始める。
そして不二子に「アイシャの記憶」を取り戻させるべく、フクロウ頭達を暗躍させ、ルパンに依頼し…まあいろいろやって今に至る、と。
しかしここで不二子が暴露。不二子が以前メイドとしてこの屋敷にきたのは、フロイライン・オイレ教団のバックに伯爵がいることを知ったから。その時点で泥棒(笑)。本丸を狙って伯爵邸にきたと。
セックス遊びも泥棒も、アイシャの記憶が入る以前からやっていたこと。アイシャが「アイシャの可能性」だと思っていた不二子の行動は、「アイシャの可能性」ではなかった。
まあ、不二子がアイシャの記憶を入れたのが、3年前(シトトと伯爵の契約が3年前だから)としてもすでに大人。以前の記憶が消去されたのではなければ、他の少女達と違ってそれまでどおりの行動をとってもおかしくはないのです。
歌:みんなが愛してる、みんなが夢見てる、あの子の名前は峰不二子ー♪ 峰不二子は行っちゃったー。お空のお城へ行っちゃったー(以下F.O)
このあやしい歌がクセになりそうです(笑)。今期の音楽は菊地成孔さん。長年使われた大野雄二サウンドじゃないけれど、音楽はうまくルパンのイメージにあった仕上がり。かなり良かったと思います。
オスカー:悪い子はおしおきだ。悪い子は燃やさないといけない
アイシャの思いに突き動かされるように、オスカーはタンクローリーを炎上させて他の実験体を処分する。
オスカーが引き起こした火事。不二子とルパンはアイシャを外に連れ出すことに。
朝が来て次元と五ェ門の戦いも終わりを迎える。
不二子:私はもう殺しはやめたの。あなたに宝物をあげる。あなたの欲しがっていた自由よ
自分の記憶を他人に移し、他人から人生を奪い続けることは、はたしてアイシャの本当の望みだったのか?
アイシャが不二子を自分の「if」として喜んだのであれば、伯爵の呪縛から解き放たれた自由な人生を望んでいたはず。他人に自分の記憶を入れても、他人の人生は他人の人生。アイシャの人生ではありえない。
伯爵の死後アイシャが選び取った人生は、あの部屋で他人の人生を見続けただけだった。自分自身は未だに伯爵の呪縛から逃れることが出来ずに。それが他の「if」の中から選び取ったアイシャの現実。
死期が近づき体が動かすことができないアイシャが「自由」を望めば、どうなるかは自明の理。しかし最後に1つくらいは…。ということでしょうか。
不二子:ルパン、あたしを盗むんじゃなかったの?
ルパン:今日のお前はセンチになりすぎている。俺がほしいのは退屈を埋めてくれるクレージーなお前さ
などとカッコいいことを言いつつ、最後はルパン・ダイブですけどねー。しかし不二子に返り討ちにされるのがお約束の様式美(笑)。
全話見終わって、「『峰不二子という女』の話じゃなくて『アイシャという女』の話だったじゃないですかー」という感想を抱く人もいるかもしれません。
でも結局、「アイシャの記憶が入っても、不二子は不二子として行動してました」という話でしたから、タイトルに偽りありとまでは言えないかと。
本当に不二子の過去話というか生い立ちやプロフィールを見たかった人っていないでしょ(笑)? やはり「謎の女・峰不二子」でいて欲しいと思うし。
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