4話は銭形メイン回かと思いきや、不二子と銭形、銭形とルパン、銭形とオスカー、オスカーと不二子というように、複数の人間関係の説明回でした。
今期の銭形警部(声:山寺宏一さん)は、わりと冷静かついい意味でも悪い意味でも大人。
不二子と寝ちゃうような銭形は、これまた今までのテレビシリーズではなかったことなので賛否両論でしょうね。
冒頭からいきなり不二子と銭形がヤッちゃってます。もちろん、深夜とはいえ地上波で流せるレベルですから、見せすぎているわけではないです(笑)。
この4話だけ見ると「銭形が職権乱用して、逮捕した不二子に肉体関係をせまったのか!?」と思って焦りました。でも6話「愛の牢獄」で、不二子が語るところから察するに「銭形の弱みを握るために不二子が誘惑した」模様。
でも「誘惑されてそれにホイホイ応じてしまう警部殿ってどうなの? 」という職業倫理的な問題が残るわけですが、今期の銭形は不二子ごときケツの青い小娘にどうこうできるようなタマではないという印象です。
よくも悪くも「大人」。不二子に弱みを握られたところで動じないし、その程度は握りつぶせそうなかんじ。法に触れる取引を持ちかけられても応じないでしょう。
だからこその描写ではないかと思いました。
でも、不二子のお尻さわったりもしてますから「下種な男」という見方もできるので、そのへんは賛否が分かれるのでは?
「許容できるかできないか」はその人次第。「LUPIN the Third -峰不二子という女-」ルパン三世外伝的扱いのストーリーですから、個人的にはギリギリ許容範囲です。
ちなみに今回の話のネタ元は「オペラ座の怪人」ですね。有名すぎて説明不要かと。
LUPIN the Third -峰不二子という女- 第4話「歌に生き、恋に生き」感想
銭形警部の部屋で、銭形と捕らえられた不二子(声:沢城みゆきさん)がアダルトな取調べ中。扉の外でそれを知って、ご機嫌斜めのオスカー警部補(声:梶裕貴さん)。
銭形は不二子に釈放の交換条件を提示。
不二子:なによ、充分楽しんだでしょ?
銭形:泥棒ふぜいの安いカラダでか?
せめてお前がアイヤーン・マイヤーなみの声で鳴ければな
オペラ歌手・アイヤーンが身につけているアジリタの仮面を狙う、ルパンからの予告状が届いたとの事。ルパンを阻止するため、銭形は不二子にアイヤーンの仮面の護衛を依頼。
名オペラ歌手・アイヤーンは熱狂的なファンによって、顔にヤケドを負った女。宝石のついた高価な仮面「アジリタの仮面」を身につけ焼けた顔を隠して、今も舞台に立ち続けている。
ルパンはその仮面を狙っている。
不二子の裏切りを危惧するオスカーと、裏切りも織り込み済みであることを語る銭形。
銭形:女が裏切らなかった歴史なんてものはどこにも存在しない
クールだねえ。不二子の思惑や裏切りなんかは想定内。信用して使うわけじゃないから問題ない。
不二子程度にひっかきまわされる銭形ではないってことですね。
次の日さっそくオペラ座のあるゲルニラ宮に潜入する不二子。
大道具のダレンゾ(声:仲野裕さん)はゲルニラ宮の幽霊の話を持ち出すし、なにかあやしい予感。
アイヤーンの舞台開演。
大道具の馬に隠れて乱入するとか、ルパンやりたい放題(笑)。さっそく不二子の胸をなでまわしてるし。
その頃、舞台では照明が落下、オペラ座の怪人登場。ショックで倒れたアイヤーンの代わりに、銭形推薦の不二子が舞台に立つことに。
「RED GARDEN」「紅」などの松尾衡監督作品のプレスコを生かしたミュージカル回で鍛えた(?)沢城みゆきさんの歌声がここで披露されるのか!? と思ったら歌なしでした(笑)。
銭形:なに、たいして感じてもいないくせに派手なよがり声をあげる役者だ
不二子:あら、バレてた?
もうどっちもどっち。キツネとタヌキの化かしあい。
銭形もセクハラおやじ的に不二子の尻をさわっていたりと、こっちもやりたい放題。
銭形:ルパンの足を引っ張ることはできずとも
下着を引っ張るくらいならあの女にもできるだろう
「いやー、いくらルパンでも仕事中にそっち方面は…」と思ったけど、さっき不二子の胸もんでましたね。アリなのか!?
舞台に立って代役を務めるも、打ち合わせとは違う状況が発生して舞台下の奈落で困惑する不二子。状況から察するに一連の事故の犯人はオペラ関係者?
一方舞台では、またもやオペラ座の怪人が!?
しかしルパンの差し金で、今まで舞台に立っていたアイヤーン・マイヤーが実は偽者だったと判明。
ここで不二子オペラ座見学で紹介されてた「屋上で飼ってるミツバチ」がでてくるとは。
「屋上でノーション(笑)に卸すハチミツを作ってる」というのは「銀座ミツバチプロジェクトの宣伝か!?」と思いましたが、そっちじゃなかったのね(笑)。
ルパンは仮面を盗もうとして失敗。銭形に追われる羽目に。
今期のルパンは「銭形のとっつぁーん」とは言わない模様。とりあえず、今日が初対決らしいかと。
銭形:この身に流れる血が叫ぶからだよ。ルパン一族を根絶やしにしろとな
「根絶やし」とはまた穏やかじゃありません。この一族の確執みたいな設定はどこから来たの? 原作漫画?
銭形:銭形の名を背負う以上、この血を欺くことはできない
「正義を守る法の番人」というニュアンスとは違う気がするのですが、なんなんでしょうね。銭形一族。
ルパンとの追いかけっこの末、
ルパン:次は唐辛子入りの血糊だ。出血サービスしちゃうぜぇ
銭形撃沈。いやむしろ、オスカーにトドメをさされたかんじでしたが(笑)。
結局、オペラ座の怪人騒動は本物のアイヤーン(声:深見梨加さん)がダレンゾとの愛を貫くためにやったこと。
大道具係のノーラ(声:東條加那子さん)を偽アイヤーンとして稽古をつけて育て上げ、自らはこっそり引退。
オペラ座地下のカタコンベにダレンゾとの愛の巣を作って隠れて暮らしていたけれど、ルパンに仮面を盗まれたらいろいろ調べも入って今舞台に立つアイヤーン(=ノーラ)が偽者だとばれてしまう。
そうなると、今までのような静かな生活はできなくなるから、それを阻止するために…という話。
しかしもう、ノーラが偽者とバレちゃったことだし、ダレンゾと二人で完全にカタコンベでの隠遁生活へ入る決心。
それはいいけど、だからもうこれは用済みとばかりにアジリタの仮面を暖炉にくべてしまうアイヤーン。
ルパンシリーズではよくあることですが、ルパンは結局タダ働きー。
まあそんなことより、今回はオスカー警部補ですよ。
オスカー:お前! 手伝え、豚女!!
とか「ブヒブヒ走れ」とか「たんつぼ」とか。不二子に言いたい放題ですよ。
ちなみに今回の脚本はシリーズ構成の岡田麿里さん担当。
岡田麿里さんといえば、私にとっては「他作品でかねがねお噂だけはうかがってます」的な人。
脚本担当の一人として参加しているアニメの担当話では、それほど悪くないと思うのですが。シリーズ構成として参加している場合は、よくも悪くもクセがある人という印象。
岡田麿里さんがシリーズ構成をしている作品で、私がまともに全話見たのは「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のみ。
これもけっこうクセがあって。最終話を見て「なんじゃこりゃ!? 」と思ったものでした(笑)。全話で判断すれば、上手いと感じた部分ももちろんありましたけどね。
で、わりと耳障りと言うか尖った言葉を脚本に入れてくるクセもあるので、「ああ、岡田さんだねえ」と思っていたのです。
LUPIN the Third -峰不二子という女-(アニメージュ2012年7月号)やLUPIN the Third -峰不二子という女-(ニュータイプ2012年7月号)などのインタビュー記事を読むと、山本沙代監督の要望もあったようですね。
尖った言葉を入れてくるのはかまいませんが、言葉のセンスちょっと。もちろん言葉にどういうイメージを抱くかは多少個人差あります。辞書に載っている「言葉の意味」とは別の感覚的なもののことですよ。
この4話で使われた単語は、私にとっては単に下品に聞こえるだけという印象でした。
11話「愚か者の祭」でオスカーが孤児出身であることが判明するので、深読みすれば「オスカーの出自の卑しさ」をあらわす言葉の選び方だったとも考えられるかもしれません。
でも逆にオスカーは銭形警部を尊敬していて彼に必要とされる人間になりたいと望むなら、そういう下品な言葉は自分で封印しそうなんですよね。やはり考えすぎかも。
オスカー:ああ、血まみれ警部。なんて退廃的な美しさ
私は基本「アニメにおけるホモはギャグ担当」としてとらえてるので、この4話時点では「オスカーはギャグ担当か! 」と思ってました。このセリフは笑うところですよね、的な。
「LUPIN the Third -峰不二子という女-」におけるオスカーの役割は、ラスト2話をみればわかりやすいかな。オスカーは不二子になれなかった(ネタバレ回避で伏せます)…なんですよ。
前述のアニメージュのインタビューを読むと、オスカーは監督の要望だったそうです。
それからオスカーに追い立てられて、不二子が忘却の河で見る少女幻想。これらの理由はまた後の話でわかりますよ。
不二子は封印した記憶のカケラを思い出したのでしょう。
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