オスカーVS不二子回。オスカーの銭形に対する愛情と、不二子に対する嫉妬が描かれています。

オスカーの銭形に対する過剰な思い入れ(尊敬と敬慕)の理由は、11話「愚か者の祭」までおあずけ。そのため本放送時には、いろんな意見が紛糾してました。

LUPIN the Third -峰不二子という女-(ニュータイプ2012年7月号)のインタビューでは、この話のためにオスカー役の声優を梶裕貴さんに決めたということですから、作り手側のこの回にかける意気込みは相当あるのかも。

イゾルデの声は、最初は梶さんとは気づきませんでしたが「女の子にしてはもっさりした声」と感じてました。

「いけてない女の子役の声だからこういう演技なのだろう」と解釈してたんですけど。正体がバレてからは「やっぱりねー」になりました。もう一度6話あたまから見てなおしたら、出だしの数語は声色変わって聞こえますが、やはり梶さん声ですよ。

出だしの声色が少し違うだけで、別人と認識してしまう人間の耳の精密さ。でもそのあとはやや高めとはいえ普通に声を出しているのに、第一印象のまま別人だと認識が続く、人間の耳のいい加減さ。

もちろん梶さんが女の子風の演技をしているから、少々声が低めに入っても「女子」と認識してしまったようです。恐るべし。

とりあえず個人的には渾身のギャグ回ととらえています(笑)。

映画「ルパン三世 カリオストロの城」のパロディ的セリフもでてきましたよ。

LUPIN the Third -峰不二子という女- 第6話「愛の牢獄」感想

今回の不二子の目的は物理学者ブラッハの遺した2つの論文。2つそろってはじめて意味を成す、その論文の1つにつながるブラッハの娘イゾルデが持つペンダント。

そのペンダントを奪うために、最近イゾルデが転入した女子校へ、女教師として潜入。

女子校と言えば禁断の女の園。という幻想が世の中の男性諸氏の心をくすぐる…のか? 私は百合属性とか持ってないので、そちらの魅力はイマイチよく理解できません(笑)。

不二子(声:沢城みゆきさん)×アンゼリカ(声:桑島法子さん)のキスシーンとか、キマシタワー(棒読み)。

美しい不二子先生に一人だけ抜け駆けしたという理由で、アンゼリカとそのとりまき連中にいじめられるイゾルデ。

このイジメシーンのイメージはちょっとテンプレ的というか古臭い。制作側もわかっててやってるんでしょうね。

髪を切られ、服を切られたその傷心のまま、不二子先生の元へ。

イゾルデ:教えてください、不二子先生。キスの仕方…

はい、ダバダ~♪な音楽が流れて、ムーディーな時間開始(笑)。

不二子:女は断じて己のありのままの姿をさらすことはない
自然から生みつけられたままで充分に他者から愛されるという
男ほどのうぬぼれがないからである

ゲーテの「ヴィルヘルム=マイスターの修業時代」に出てくる格言だそうですよ。参考:ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉 (岩波文庫)

「ヴィルヘルム=マイスターの修業時代」は様々な体験を経て主人公の精神面が成長していく、いわゆる「教養小説」。

「涙とともにパンを食べたものでなければ、人生の味は分からない」とか、他にもゲーテの有名な名言が出てくるそうですが原書は8巻だそうで。岩波文庫では上・中・下の全3巻。わりと長いので要注意。

手軽にゲーテに触れたいなら、格言集の方がとっつきやすいと思います。

文学ほか多方面に影響を与えていますが、ゲーテもまさか自分の死後、こんなアニメでネタ的に使われるとは夢にも思わなかったでしょう(笑)。

オスカー:先生もうぬぼれてるんじゃありません?(鳩尾に一撃)
不二子:ガハッ
オスカー:全ての女生徒から自分が好かれているなんて。たんつぼの分際で!

イゾルテの声色が途中から完全にオスカーボイスに(笑)。ダバダタイムではちょっとあえぎ声とか出しちゃったりして、がんばってます梶さん。やはり声優的には、声芸の見せ場ですよねー。

そして今日の全裸ノルマ。気を失った不二子を剥いてベッドに拘束して、ワインをたらす…。唇にかかったワインを舐めとる。

そっち系のフェチ心がある人にはおいしいシーン? 私はどちらかというとオスカーのモノローグとあいまって、オスカーの銭形への思い入れの深さに引いてました(笑)。

オスカーが不二子を拘束したのは、論文を狙うルパンの予告状が届いたから。不二子をエサにルパンを捕まえる予定。

本物のイゾルデ(声:慶長佑香さん)からペンダントを借り、制服をひっぺがしてイゾルデに女装して女学園に潜入したのもルパンを捕まえて銭形警部に認めてもらうため。

オスカー:感じるぞ、ルパン。僕の向こう脛(むこうずね)のまばゆい白に
引き締まったつるりとした細さに魅入られているお前の熱い視線を

ルパンをおびきよせるために、イゾルデに扮して人目のない小道を歩くオスカー。モノローグの行過ぎたナルシズムに引きぎみの私。声優さんはすごいわー。

イゾルデ:私は不二子先生に大切なものを盗まれてしまったんです
ルパン:あらまぁ「それは君の心だ」とか言っちゃったりしてもいい~?

映画「ルパン三世 カリオストロの城」の銭形のセリフのパロディ入りましたー。

そしてここからは唐突なギャグ展開。サブマシンガン(公式サイトによると「ワルサーMPK」を参考にした模様)を撃ちまくるアンゼリカ達に追い立てられて、植物園に閉じ込められてしまうルパン。

ルパンを閉じ込めたことに安堵するオスカー。ところが、通信機に不二子から通信。

拘束されていた部屋からの脱出、昨晩オスカーと接触した際にペンダントをすりかえていたこと。ところがペンダントにはロックがかかっており、ロック解除のための暗号(パスワード)が必要。

不二子に拷問される銭形警部の声を聞いたオスカーは、思わずロック解除用の教えてしまう…。もうここから後の展開は読めました。

その後学園に到着した銭形警部を見て安堵し、駆け寄るオスカー。このシーンのオスカーの喜びの表情がとっても乙女ですよ(笑)。

銭形の無事を喜ぶオスカーに対して、訝しげな表情の表情の銭形。そこでようやく気づいたオスカー。植物園はもぬけのカラ。

その夜、署で銭形への報告を終えたオスカーは冷たくあしらわれ、警部の部屋から退出。不二子への憎しみを一層つのらせるオスカー。

一方不二子は、今回は最初からルパンと手を組んでのお仕事。オスカーによってベッドに拘束されていた不二子を助けたのはルパン。

通信機でオスカーに聞かせた「拷問されている銭形の声」は、4話「歌に生き、恋に生き」で銭形とやっちゃったときの声。こんなときに使うためにと、不二子が誘惑したという話。

今回でわりとはっきりしてきた、オスカーが男である意味。個人的には「オスカーを男にした理由」は以下の3つだと思ってます。

  • レギュラーの女性キャラを不二子一人にするため
  • 女同士の魅力の比較を避けるため
  • 「絶対に銭形に愛されない」という必然性をもたせるため

もしオスカーが女だったら、不二子は唯一の女性レギュラーキャラじゃなくなるので、その分目立たなくなります。

さらに全話見た後ならわかりますが、ストーリーの都合上「オスカーが銭形に愛される可能性」を残してはいけない理由があります。

オスカーが女だと、視聴者からは不二子との女性としてのスペックの対比でみられてしまう可能性が高いかと。

たぶん制作側は、オスカーが銭形から愛されないのは「不二子とオスカーを比較して、より魅力的なのは不二子。オスカーは不二子に(魅力で)劣る」という方向にはもって行きたくない。

オスカーが男であれば、「銭形はノーマルだから、オスカーを恋愛対象として見ることは絶対にない」という話にできるから、そっちを採用したのでは?

要するに「オスカーを男に設定した」というよりは、「オスカーを女に設定しなかった」と考えるのがわかりやすいかなと。

まあそれにワル乗りして、スタッフがオスカーで遊んだ感はありますね(笑)。

今回ちらっと出てきたオスカーの胸のイレズミの理由は、結局最終回まで明かされませんでした。特に理由はなかったのでしょうか?

単純にキャラ識別のための記号としての意味しかなかったのかな?

今回もオスカーが不二子を捕まえた夜、フクロウが見てましたね。これは比喩的表現かな? 実際はカメラを仕込んだフクロウだったり、フクロウ頭だったりしたのかも。

さらに不二子が眠っている間に見た夢は、少女がフクロウ頭の人達になにやら飲まされている姿。こちらは不二子が「封印した過去の記憶」。

少女が座っていたイスが孔雀イスでしたね。5話ラストのルパンの「その気になれば孔雀だって飛べるのに」に掛けているのかも。

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