「猫の恩返し」のメイキング資料と言えばやっぱり「THE ART OF The Cat Returns 猫の恩返し」なんですが、ちょっと微妙な気がするのはあの頃のジブリアニメと比べてやや設定資料集が少ない気がするあたり?
主人公ハルの設定資料はカラーのキャラクターボード、線画のキャラクター設定資料集などそこそこ絵があるけど、他の猫キャラは(あの当時のジブリアニメにしては)微妙に設定画が少ないような…? もちろん猫の恩返し(ロマンアルバム)よりはくわしいというか、バロンの猫の事務所以外の服装(仮面衣装とか、帽子&上着設定とか)もあるけれど。ロマンアルバムには、キャラによっては「ジ・アート」に載っていない設定絵がちらほらあったり…。
なにかこう、微妙に設定画がはしょられている気がするのは気のせい? 主だった絵はロマンアルバムに載っているので、そちらでそこそこ満足できそうな気分なんですよね…。
モブ猫、SP猫とか、門番猫、芸人猫、貴族猫など、名前がない猫キャラ設定資料は「ジ・アート」にあるので、そのあたりまで見たい猫キャラ好きにはいいかも。
美術資料も「ジ・アート」には美術ボードor背景(完成版)が載っていて、ロマンアルバムは美術ボードのみ。だから同じ場面の美術でも「ジ・アート」では(完成版の)背景、ロマンアルバムでは美術ボードというかんじで微妙に違う絵になってます。
「男鹿さんがいいかんじの草花を添えてくれた」という猫世界の猫ハウス絵でも、ロマンアルバムの美術ボードでは草花がなかったり。微妙に異なる絵が載っているのが、製作過程が垣間見える気がして面白いと言えば面白いですね。
個人的にちょっと残念だったのが、解説コメントが美術監督の田中直哉さんのものだけということ。
巻頭に2ページ森田宏幸監督のインタビューが載っているのですが、2ページではやはり少ない…。宮崎駿監督だったら、イメージボードが掲載されていることが多いので、インタビューが少なくてもイメージボードのメモからいろいろ推測したりするんですが。今回イメージボードが載っていないからそれもできないし。
田中さんがたくさん解説コメントをつけているけれど、当然ながら美術に関するものが多くて。作画監督やキャラクターデザインに関するコメントがほとんどないのが寂しいですね。ちなみに田中直哉さんは「崖の上のポニョ」に美術監督補で参加してますよ。
監督か作画監督のコメントも欲しかったなー。となると、やっぱりロマンアルバムに軍配が上がる気がします。
- タイトル:The art of the cat returns―猫の恩返し (Ghibli the art series)
- 出版社・発売時期:徳間書店スタジオジブリ事業本部(2002-08)
- ページ数:207
- 総合評価:
内容紹介
- アニメ「猫の恩返し」のメイキングアートブック
- 森田宏幸監督インタビュー
- キャラクターボード、キャラクター設定資料集
- 美術ボード、背景
- 本編の場面スチル(フィルムストーリー的に…)
- 撮影効果について(高橋賢太郎撮影監督の解説)
- 「猫の恩返し」アフレコ完成台本
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