劇場公開当時ものすごい人気で関連本がたくさん発売された「もののけ姫」。

「もののけ姫」に関しては、作品についての評価とか考察とかはあまり興味が無い私。宮崎駿監督のイメージボードや美術スタッフの美術ボードなんかが見たければ「ジブリの『ジ・アート』シリーズでしょ!」と思って買ってみました。

でも「ジ・アート」本は、毎回作品毎にフォーマットが違うんですよね…。スタジオジブリの初期作品の頃は宮崎駿監督(もしくはイメージボード担当者)のイメージボード満載で「ジ・アート」本でしか見れない!! という内容でした。

アフレコ台本も作品によってついていたり、ついていなかったり。買ってみないとわからない!

「The art of the Princess Mononoke―もののけ姫」の場合は、「イメージボードはやや欠け気味」「アフレコ台本なし」でした。

その代わりと言ってはナンですが、宮崎駿監督直筆レイアウト集がなんと33ページ!! 制作日誌もついてます。

宮崎駿監督イメージボード集

「もののけ姫」で宮崎駿監督が描いたイメージボード(キャラクターボード、ストーリーボード)がストーリーの流れに沿って随所に載ってます。

ロマンアルバムと比べてみたら、イメージボードの枚数は「The art of the Princess Mononoke―もののけ姫」の方が多いです。ただし、ロマンアルバムには「The art of the Princess Mononoke―もののけ姫」に載っていないイメージボードが載ってました。

「The art」本には載せきれなかったイメージボードがあって、それがロマンアルバムに載ってるんですね。

イメージボードやストーリーボードなど宮崎駿監督の絵が目当てなら、「ジ・アート」だけでいいことが多いんですが…。「もののけ姫」の場合、ロマンアルバムもあった方がいいかもしれません。

108ページに載っている「猪神とサン」と注釈されたイメージボードでは、宮崎駿監督の文字コメントが削られてます。ロマンアルバムではサンの心情を示した「ブタ神はきらいだ(宮崎駿監督の文字)」がそのまま載っているんですが。

「ジ・アート」で物足りない人は、ロマンアルバムもチェックした方がいいかもしれません。

キャラクター設定資料集

作画監督の安藤雅司さんのキャラクター設定画(線画)ですが、ゴンザと甲六しか載ってません。

イメージボード集に宮崎駿監督描いたキャラクター・イメージボードは載っているので、キャラクター設定画は紙面の都合上省かれたのでしょう。

線画のキャラクター設定画が見たい人は、ロマンアルバムの方がたくさん載っているのでおススメです。

本編カット集・美術ボード集

これはいつもどおり。ストーリー順に本編画像や美術ボードが載っています。美術担当者の解説やインタビューはありません。

デジタル映像制作解説

映像技術についてのコーナーです。「もののけ姫」はジブリ作品で本格的にCGが導入されたアニメ。CGを導入した立体表現、多重合成、デジタルペイントなどについて、図説つきで解説されています。

今となってはすでに古くなっていますが、当時の技術レベルがわかりますね。

宮崎駿レイアウト集

宮崎駿監督が担当した直筆レイアウト集です。物語ラスト近くのレイアウトですが、なんと33ページもぎっしりレイアウト集!!

宮崎駿監督のレイアウト力はもう定評がありすぎるくらいあります。贅沢に載せてるなーと当時思いました。

ただ…2007年のスタジオジブリ レイアウト展の図録に載っている「もののけ姫」のレイアウトとかなりの絵が重複しています。

「The art of the Princess Mononoke―もののけ姫」は「もののけ姫」劇場公開当時の本だし、レイアウト展では「高畑勲さん・宮崎駿さんのレイアウトを中心に」というコンセプトですから、内容が重複するのは仕方ないですけどね

詳しくはスタジオジブリ レイアウト展図録 感想で。

制作日誌

巻末のモノクロページに1994年8月~1997年6月まで、約3年間の「もののけ姫」制作日誌が載ってます。

若手の原画マンの仕事が遅くて宮崎駿監督が活を入れたとか、監督が色の事で色彩設計の保田道世さんと対立して周りに意見を求めるも、周囲の人々はどっちつかずの意見だったとか。かなり赤裸々な内容になってます。

制作裏話満載なので、ビジネス話として読んでも面白いですよ。

アフレコ台本はついていませんが、物語に沿ってイメージボード、ストーリーボード、美術ボード、背景、セル画像などが並べられています。画像についている「どんな場面か」の解説を読めばストーリーはほぼ把握できると思いますよ。

イメージボードがロマンアルバムの分も載っていれば「ビジュアルメイキング資料本としてはこれ1冊!! 」といえるんでしょうが、そこは私の個人的なこだわりポイント。正直まとめて載せて欲しかったです。

音楽担当の久石譲さんへ作品イメージを伝えるために、宮崎駿監督が書いたという9本の詩なんて「カラーで8ページもとらずとも、巻末1ページくらいにまとまるはず! 」と思ってしまうのはわがままかな(笑)?

「イメージボードはほどほどに載っていればいい」という、こだわらない人にはいいアート本だと思いますよ。

タイトル:The art of the Princess Mononoke―もののけ姫 (Ghibli the art series)
出版社・発売時期:徳間書店/スタジオジブリ・カンパニー(1997-08)
ページ数:223
総合評価:5

内容紹介

  • アニメ映画「もののけ姫」アートブック
  • 宮崎駿監督イメージボード、レイアウト集
  • 美術ボード(山本二三、田中直哉、武重洋二、黒田聡、男鹿和雄)・背景
  • キャラクター設定(安藤雅司)
  • 場面スチール(本編カット集)
  • デジタル映像制作解説
  • 制作日誌
  • …etc.

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