オトナアニメディア「つり球大特集」表紙イラストも「つり球」です。イラスト原画は高橋裕一さん。
表紙には「33ページ総力特集!」とありますが、中村健治監督作品紹介ページが含まれてます。「つり球」に関しては実質29ページ。
ちなみにオトナアニメディアはオールカラー本でした。白黒ページがなかったです。
この本は「つり球」放送開始直前発売なので、インタビューも「つり球」のネタばれになりそうな話には触れられてません。
でもデザインの話や脚本が目指した物についての話は、放送終了後に読んでも面白かったですよ。
では記事の内容紹介。
- キャラクター紹介(2ページ)
キャラクターデザインの宇木敦哉さんの絵を使って、メインキャラクター紹介。
- 真田ユキ
- ハル
- 宇佐美夏樹
- アキラ・アガルカール・山田&タピオカ
- ココ
- ケイト
- さくら
- 海咲(みさき)
- えり香
- 店長
基本的にカラーの全身絵ですが、ハル、ユキ、夏樹、山田は線画の表情集も少々。
以前ニュータイプでも宇木敦哉さんの絵が紹介されてましたが、あれより絵が大きめでみやすいです。
このメンツにえり香が入ってるのは、ちょっと違和感。出番の少なさ的に(笑)。入れるなら船長の歩ちゃんではないかと思いますが、まあいいです。
- 中村健治監督インタビュー(4ページ)
中村監督の「つり球」に関するお仕事話。
中村健治監督と言えば、ノイタミナ枠で「怪~ayakasi~化猫」「モノノ怪」「空中ブランコ」「C」とやってきて、オリジナルも原作付きも手堅くこなしてる印象。
「空中ブランコ」は映像的に異色な作品でびっくりしましたが、意欲は買います(笑)。
この本に載っているのは放送開始前のインタビューですが、「つり球」に関しても監督の目指すところがちゃんとアニメに反映されている印象は受けました。
- キャラクターデザイン宇木敦哉インタビュー(4ページ)
キャラクター紹介ページに続いて、宇木敦哉さんのキャラクターデザイン画が載ってます。主に線画。
アニメの原案絵なので、アニメ用の設定画より宇木敦哉さんの個性が強く出ている印象。
掲載されている絵(線画中心、一部カラー)は以下の通り。
- ユキ
- ハル、夏樹、アキラ
- ココ
- 海咲
- ケイト、さくら、えり香
目のアップとか、細かいデザインもちょっと載ってます。
インタビューの内容は、やはりキャラクターのデザインと中村監督からのオーダーについて。
「メイン4人の中で夏樹は何回も修正した」というのは、やはり高橋さんのインタビューにもあるように、中村監督に具体的なイメージがあったからでしょう(笑)。
- 高橋裕一インタビュー(4ページ)
アニメ用のキャラクターデザイン担当の高橋裕一さんのインタビューと、アニメ用キャラクター設定資料(影付き線画)少々。
キャラクターデザインとアニメーションキャラクターデザインの関係がわかりにくい人います?
キャラクターデザインの宇木敦哉さんが原案絵を描いて、それをアニメーションキャラクターデザインの高橋裕一さんがアニメ用の設定画にするという分担です。
で、このページの高橋裕一さんの設定画は以下の通り。
- ユキ、ハル、夏樹、アキラ(各表情4つ)
- 海咲(表情集+全身前・後)
- ココのメガネ補足
あと、大野俊哉さんインタビューのページにメインキャラクターの身長対比図(線画)があります。
身長も書きこまれていたので、メインキャラの身長もわかります。ユキは意外と背が高いというか、クウォーター設定の割に背が低いというか。
インタビューの内容は宇木さんのデザインをアニメ用に落としていく過程でのポイントとか、キャラクターデザインに関する監督のオーダーとか。
やっぱりアニメーターは、絵の特徴を言葉で表現できるくらいに的確につかんでるものですね。
夏樹についての監督オーダーの「加瀬亮をイメージしつつモノトーン的な美形」って。具体的なんだかイメージ先行なんだかよくわからない(笑)。
「一口に加瀬亮と言ってもいつ頃の加瀬亮!?」と突っ込みたくなるオーダーですが、そんな要求に応えるのもアニメのお仕事ですね。
- 大野敏哉インタビュー(3ページ)
大野敏哉さんは「スイートプリキュア♪」のシリーズ構成もやってますが、どうもこのインタビューを読む限り「つり球」の仕事を先に受けたような印象。
でもインタビュー完全版(?)の「つり球オフィシャル ログ ブック」を読むと、やはりプリキュアの方が先だったみたいですね。
このインタビューが「つり球」放送開始前ということで、内容はキャラクターについてがほとんど。
まず、彼らは恋愛をするというところまで到達できないんですよ(笑)。主人公は他人と喋れませんから(笑)。
個人的に、このへんが上手いなあと思いました(笑)。
「コミュニケーション下手の地味な少年が、いきなり注目されて彼女もできてウハウハ」みたいな夢あるアニメ(笑)も多いけれど、実際は恋人どころか友達作りから四苦八苦してる人もいるでしょう。
もう友達の作り方や距離の取り方がよくわからない、みたいな。
実際「つり球」を見た印象でも、そのあたりを視聴者の胸が痛まない程度の人間関係のこじらせ感は上手いと思いましたよ。
- 山本幸治×南成江×大松裕PD鼎談(4ページ)
フジテレビ、アニプレックス、そしてアニメ制作のA-1 Picturesという3つの異なる部署のプロデューサーの鼎談。
インタビュー最後の「読者へのメッセージ」に微妙な立場の違いが出てますね。
鼎談はそれぞれのプロデューサーが「つり球」と中村健治監督のお仕事手法、中村監督に求めることなど語ってます。
- 倉橋隆、保坂有美インタビュー(2ページ)
中村健治監督作品ではおなじみの、美術デザイン担当・倉橋隆さん、保坂有美さん。
インタビューページに美術設定(線画)+キービジュアルの背景(カラー)も載っているので、インタビュー自体の内容はちょっと薄め。
「つり球」美術の一押しポイントについては、やはり鈴木英人さんのイラストを意識しているように読み取れる文章が(笑)。
釣り球の美術をみたときは、「鈴木英人…いや、わたせせいぞう? 」と迷ったものですが、やっぱり鈴木英人ですよね?
美術設定(線画)6枚あります。書き込み文字がなんとか判別できる大きさ。
- ヘミングウェイ店内
- ユキの家玄関前
- ユキの家風呂場
- ユキの家脱衣所
- ユキの部屋
- ????
放送開始前なので「????」になってる美術設定は、山田たちダックのアジト(監視ルーム)。
- 長崎行男音響監督インタビュー(2ページ)
音響監督担当の経緯とか、これまでの中村監督とのお仕事での人となりとか。音響監督の目から見た中村監督の作品の特徴とか。
栗コーダーカルテットの劇伴に関する話や、「つり球」の音響に関する話も興味深かったです。
「最初に話を聞いた時は美少女釣り師の話だと思ったけれど、蓋を開けてみたら男子高校生の友情ストーリーだった」なんて話がでてました。
いや美少女が軽音やったり、旅館で働いたり、ファミレスでバイトしたりみたいな「テーマ+美少女系」はもうたくさんありすぎて、よほどメディアミックス強くないと放送後に埋もれそう。
釣り+男子高校生の友情ストーリーで正解だったんじゃないでしょうか。
- 栗コーダーカルテットインタビュー(3ページ)
栗コーダーカルテットの栗原さん、川口さん、近藤さん、関島さんの4人。
つり球の音楽を担当することになった経緯とか、どういう楽器を使ったかとか。
4人それぞれの作曲の割り振りとか、聴いてほしいポイントとか。
70曲~80曲ほど作って、まだ追加発注もあるだろう的な話とか。アニメの音楽のお仕事的な話がいいかんじにまとめられてました。
以上。この「つり球」特集記事+中村監督のノイタミナ作品紹介ページでした。それから付録が「つり球」B2ポスター。裏面は「ペルソナ4」。
「オトナアニメディア」はメガミマガジン別冊ということで、ちょっと偏見持ってましたが(笑)ごくごく真面目なアニメ雑誌ですね。
インタビューも好印象だし、設定画も多め。
他に気になる記事がある人は、今から読むのもアリだと思いますよ。
- タイトル:オトナ ANIMEDIA (アニメディア) vol.4 2012年 05月号 [雑誌]
- 出版社・発売時期:角川書店(2007-08)
- ページ数:111
- 総合評価:
内容紹介
- つり球大特集
- 劇場版「Tiger&BUNNY」PD対談
- 「宇宙兄弟」インタビュー。渡辺歩監督2ページ、原作者:小山宙哉2ページ、カラー設定資料2ページ。むった、ひびと、健治、せりか、シャロン、ほしか、難波父母、アポ、美術ボード5
- 「坂道のアポロン」インタビュー。渡辺眞一郎監督×結城信輝対談4ページ。カラー設定資料約2ページ。薫、千太郎、律子、淳、迎勉、百合香、線画顔アップ(まり子、重虎、竜之介)
- 「黒子のバスケ」多田俊介監督インタビュー5ページ。絵コンテ抜粋あり。カラー設定資料2ページ。テツヤ、大我、リコ、順平、ココから絵が少ない(伊月俊、りんのすけ、聡史、慎二、緑間真太郎、笠松幸雄、きせ涼太)
- 「ペルソナ4」岸監督インタビュー3ページ、脚本柿原優子インタビュー3ページ、PD対談4ページ。13~25話プレイバック12ページ
- …etc.
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- キャラベリーズvol.3「モノノ怪」
- アニメーションノート「モノノ怪」
- モノノ怪ヴィジュアルポスターブック
- FREE DRAWING~MAGNUM SOUL~(同人誌)
- モノノ怪 雑誌記事情報など
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アニメ「怪 ~ayakashi~」の1エピソード「化猫」も中村健治監督です。