またまたぐるぐると時計が巻き戻し。第1話「テニスサークル『キューピット』」で「私」(声:浅沼晋太郎さん)が1回生のときに振られた小日向さん。小津(声:吉野裕行さん)のセリフの中で1度だけ登場しただけでしたが、その小日向さんをめぐる話です。
小日向さんはセリフがなく、目鼻立ちも描かれていない女性の姿。「私」視点だと、理想の「黒髪の乙女」を投影したようなイメージ像のようなビジョンなんですね。
四畳半神話大系 第5話 ソフトボールサークル「ほんわか」感想
今回は開始早々ある集団に追われる「私」と小津。
ナレーション:責任者は誰か? おそらく私であろう。今回ばかりは。
珍しく殊勝なことを考える「私」。でもこれ半分は小津のせいですね(笑)。追跡者が追っているのは、「私」よりもむしろ小津でしょうから。正直別々に逃げた方が「私」は安全だったかも?
でも、「ほんわか」の活動にのめりこんだのは「私」自身の責任です。だから突き詰めれば「私」の責任ということになるのかな。
回想。入学当初に戻って恒例のサークル選び。今回「私」が選んだのはソフトボールサークル「ほんわか」。
ナレーション:さわやかに汗を流しながら友達100人作るのも悪くない。
修行を積んだあかつきには
美女達と言葉のキャッチボールをこなす社交性が身につくに違いない。
これは社会に出て行くためにも是非とも身につけておかなければならない能力。
決して美女と交流したいわけではない。技術を身につけたいのだ!
しかし技術を身につけた結果、美女もついてくるなら特にそれを拒む理由はない。
いつもどおり甘い「私」の予想。自分に素直じゃなく、正直に美女とお付き合いしたいと言わず理論武装するところもいつもどおりです(笑)。
ナレーション:これからじっくり事の顛末をおきかせしたい。途中退席は認めない!
そしてちょっと高飛車(笑)。
そんな甘い期待を胸に入ったソフトボールサークル。でも何かがおかしい。
サークルのメンバーは「ほんわか」しすぎているし、善人過ぎるわけで。常にニコニコ微笑んで、口論もせず猥談もしない人達。
「私」は理想論をかましたりもするけれど、本質的には俗物。俗っぽい理由でサークルに入って、俗っぽい生き方を希望してます。
とはいっても、(化学調味料を使っているという意味で)体に悪そうなラーメンが好きだとか、その程度の小市民的なささやかな幸せ追求タイプ。
「私」がその手のちょっと毒を含んだ意見を言うと、皆微笑みつつも黙り込んでしまう状況。
「私」は相変わらず空気が読めていないというか、小津だったらもっと上手くやるだろうなと思える世渡り下手。そしてその状況に疑問を抱きつつも危険さを察知まではしていない鈍感さも…。
でもどうやら今回小津はソフトボールサークル「ほんわか」には所属してないみたいですね。さすがは小津。いろんなサークルに顔を出してるくせに、危険なところには近づかないようです。
少しサークル内で浮きつつも活動を続けていた「私」は1回生のときに、小日向さんに会うのでした。
小日向さんは私が思い描いた黒髪の乙女にぴったりマッチした女性。そのたった1度の出会いが「私」の運命を変えてしまうのでした(笑)。
ソフトボールボール・サークル「ほんわか」は、健康食品会社「ほんわか」の下部組織。小日向さんは社長の娘で、「ほんわか」の広告塔。
しかし、小日向さん自身はその役目を好んでおらず、サークルにもほとんど顔をださない。
相変わらず小津の情報網はすごいですね。
小日向さんが出席する、「ほんわか」の上位会員のみ出席できる懇親会を目指して「ほんわか」の健康食品を買い捲る「私」。そのために学業そっちのけでアルバイト三昧。
ナレーション:健康食品のおかげで私の生活態度はどんどん不健康になっていった。
それでも健康なのは健康食品のおかげであるとも思われたが、
何もせず寝てすごしても同じく健康だったかもしれなかった。
自分を客観視する冷静さはあるのに、思考を即行動に反映できない「私」。
ついに「ほんわか」の活動を手伝って、蜂のきぐるみを着て賀茂大橋の上で怪しげなアメを配ることまで…。
ナレーション:私は健康や環境問題、世界の秩序より、個人的なしあわせを速やかに手に入れたかった。
ここまでわかっているのに、小日向さんに会いたい一心で抜けられない「私」。しかし限界(笑)。
ナレーション:ついに2年間張り詰めきった私の堪忍袋の緒が切れた。
その景気のよい音は新京極を歩く観光客にまで聞こえたという。
賀茂大橋(地図で調べるなら「加茂大橋」)は出町柳の方で、新京極といえば京阪の三条~四条と並行に伸びる商店街…。「そんな遠くまで音が聞こえるわけがない!! 」とお約束のツッコミ。
その場を逃げ出し、木屋町へと歩く「私」。賀茂大橋から木屋町程度なら余裕で歩ける距離ですね。いうまでもなく、新京極の方が遠いです(笑)。
占い婆(声:真山亜子さん)を「どうせ身のある助言はもらえないだろう」とスルーしようとすると捕まえられる「私」(笑)。
さらにやっぱり「老婆の慧眼に脱帽」して、5,000円巻き上げられるのでした。
これまでの努力が実ってとうとう全国会合への参加が認められる「私」。
演壇の上で演説している男の話が怪しすぎる…と思ったら、これが小日向さんの父。
「救済の方舟」と名づけられた飛行船とか、危ないニオイがぷんぷんします。
さらに怪しいセミナー開始。知らないもの同士が本音をぶちまけて「わかりあう」という内容に、ついていけない「私」。しかし目をつけられてしまい
インストラクター(?):君、後で僕の部屋に来てください。特別な指導が必要ですね。
危うし「私」!!
まさかここで小津が助けに来てくれるとは思いませんでした。猫ラーメン店主(声:宮内敦士)が助けてくれたのは、小津を助けるために樋口師匠(声:藤原啓治さん)が手を回したのでしょうね。
猫ラーメン店主と樋口師匠の関係は最終回に明らかになりますよ。
今回の「私」と小津のアホな会話。
「私」:おい、くっつくな!
小津:だってさびしいんだもの。川風がつめたいの。
「私」:このさびしがりやさんが!
こんなときでも小津は小津(笑)。別れ際に、
小津:僕にはまだ野暮用がありますんで!
と去っていったのは、文字通り「野暮用」が待ってたんですね、小津(笑)には。これも最終回に明らかに。
押入れからヒゲもじゃ男が登場した理由は、10話「四畳半主義者」でわかります。
今回都合よく小津が助けてくれたのは、やはり理由があります。
小津には、「私」を見捨てて一人で逃げるという選択肢もありました。それでも小津は「私」が危ない状況にあるのを知って助けた…。一人の方が逃げやすかったとだろうと思われるのに。
これはやはり小津なりの友情だと思うんですよ。
「私」がソフトボールサークル「ほんわか」に入って、小日向さんに惚れている。その時点で止めるのが友情という見方もありますが、どうせ「私」は小津の言うことなど聞かないでしょう。だから止めない。
けれども危なくなったら助けに行く。「私」を助けるのが目的…ではなく、ついでではありましたけどね(笑)。それでも助けてくれるのは友情でしょうね。
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