「大塚康生ルパン三世作画集」感想

「大塚康生ルパン三世作画集」が発売されると聞いて、発売前はかなり期待してました。「ルパン三世」1stシリーズの頃の絵が堪能できるのかと。

でも本の大きさが思っていたより小さかったこと。縦長の本ですが、縦20cmくらいの本なんですね。作画集というからにはB5くらいの大きさはあるかと思っていたので。ちょっと肩透かしでした。

そして肝心の中身ですが、作画集というからにはアニメの原画とか設定資料がメインで載っているのかと思ってました。

でもこの本は、アニメ用の原画・設定資料は載ってません。

大塚康生さんのルパン三世版権イラスト集と大塚康生さんの描いたルパン三世漫画「ある雨の日の午後」がメインでした。

ちなみに版権イラスト集の内訳が以下の通り。

この2つが両面ピンナップになってます。3つ折りのイラスト。そしてそれ以外が、

これらの版権イラスト（完成版）の他に、その着彩前の原画（線画）が載っているものもあります。全部で約50ページ。

プラモデルの箱絵まで載せてくれているのはうれしいですが、「カリオストロの城」のクラリスがシトロエン（?）でルパン達の横を駆け抜けていく絵と、ルパンとクラリスが崖から宙吊りになってる絵はラフスケッチしかないんですね。

ラフスケッチと言ってもかなり書き込まれた清書前の線画みたいな印象ですから、ラフスケッチ好きの私にとってはご褒美みたいなものです。でも欲を言えばカラー絵も見たかったかな（笑）。

そしてモノクロ漫画「ある雨の日の午後」と漫画用に書き起こされた設定画（カラーあり）。絵はもちろん大塚康生さん。

70ページ近くある前後編のものです。

せっかくの大塚さんのルパン三世漫画でしたが、漫画自体は私の好みではなかったです。漫画用の設定画集の方は魅力的でしたよ。

あとは大塚康生さんのインタビューが4ページ。

本が小さいので、4ページと言ってもあまり内容は多くありません。まあルパン三世ファーストシリーズの頃のエピソードなど少々といったかんじです。

漫画（＋漫画設定画）のページ数と比べると、版権イラスト集のページが少ないので「大塚康生さんの『ルパン三世』版権イラストは思ったより少ない? 」と感じてしまいました。

とにかくアニメ雑誌の版権イラストが少ないのですね。でもよく考えてみたら、大塚康生さんが「ルパン三世」をやっていた頃のアニメ雑誌は、アニメーターの描き下ろしイラストは表紙くらいでした。

ビデオが一般家庭に普及していた時代ではないから、とにかくフィルムストーリーや放送画像が喜ばれた時代なんですよ。だから版権イラストはこのくらいしかないのかな? と思いました。

本の中で漫画が占める割合が大きいので、総合評価はちょっと辛口になってます。

この本に掲載されている版権イラスト自体はいかにも大塚康生さんらしい、車＋ルパン一味！というイラストが多いです。

旧ルパンの絵柄なので、最近のルパンファンや最近のアニメファンには少々古く感じるかもしれませんけどね。

大塚康生さんのルパン絵のファンで、上のリストで「未見の絵があるなー」と思った人は、見ておくのもいいと思いますよ。

内容紹介

追記：

文庫本で絵はモノクロですが、大塚さんが中学生頃から描いた絵、主に1945年（昭和20年）から47年頃の絵が載ってます。

もちろん子供の頃の絵ですから、最初は子供なりの上手さですが、後になるにつれて上達。車好きと観察力と描写力の片鱗を見せてます。

興味がある人はどうぞ。

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