このページで紹介した「スタジオジブリ レイアウト展図録」は増補版が発売されてます。「借りぐらしのアリエッティ」「コクリコ坂から」「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」「思い出のマーニー」までスタジオジブリ作品の「レイアウト」を宮崎駿監督直筆のものを中心に収録した増補版だそうです。
セブンネットからなら定価で買えます!間違ってもアマゾンのびっくり価格に手を出さないように(笑)。参考までにリンクを貼っておきます。
以下は増補前のレイアウト展図録の感想です。
スタジオジブリ・レイアウト展図録は、2008年夏に東京で開催されたスタジオジブリ・レイアウト展の図録です(…そのまんまですね(笑))。
アートの展覧会によく行く人なら展覧会の図録はピンキリだというのはご存知の通り。小さくて薄いものから、大きくて分厚いものまでいろいろですね。
スタジオジブリ・レイアウト展図録は後者の方。大きくて分厚いです。縦はA4の大きさですが、横はもう少し幅があります。A4ワイド版というのかな? ジブリ映画で使われたレイアウト約1,300点がぎっしり掲載されてます。
アニメ制作に使われるレイアウト用紙みたいな薄い紙ならまだしも、図録なのでしっかりした紙。当然重いです。
1ページ数枚のせてる絵もあれば、1ページ1枚でドーンと大きく載せている絵もあり。
ほとんどの絵が見開きページの左右どちらか片方のページ内に入ってます。ページの真ん中で分断されている絵は少ないので、全体の構図が把握しやすくなってるのはさすがですね。
2つ折の折りたたみページもあって、大きなサイズで見ることができるレイアウトもありますよ。
掲載されている作品は以下の通り。
- 風の谷のナウシカ
- 天空の城ラピュタ
- となりのトトロ
- 火垂るの墓
- 魔女の宅急便
- おもいでぽろぽろ
- 紅の豚
- 海がきこえる
- 平成狸合戦ぽんぽこ
- 耳をすませば
- On Your Mark
- もののけ姫
- ホーホケキョとなりの山田くん
- 千と千尋の神隠し
- 猫の恩返し
- ギブリーズepisode2
- ハウルの動く城
- ゲド戦記
- 崖の上のポニョ
ここまでが歴代スタジオジブリ映画のレイアウト集。そして高畑勲&宮崎駿両監督の、スタジオジブリ以前のテレビアニメシリーズ作品のレイアウトが以下の通り。
- アルプルの少女ハイジ
- 母をたずねて三千里
- 未来少年コナン
- 赤毛のアン
- ルパン三世
- じゃりン子チエ
- 名探偵ホームズ
すごい、すごすぎる!! なんという豪華さ! 鉛筆で描かれたレイアウトはいいですね!線画好きにはたまりません。
宮崎駿監督直筆もののレイアウトを含め、ジブリスタッフのレイアウトがこんなにたくさん!! 某マンガ古書店やヤフオクではびっくりプライスで取引されるレイアウトを見ることができますよー(笑)。
ジブリ以前のアニメのレイアウト集が予想よりもたくさん載っていたのが、個人的にうれしかったです。
「赤毛のアン」のレイアウトは世界名作劇場「赤毛のアン」メモリアルアルバムに載っているレイアウトと重複してませんでした。図録のレイアウトは6話・7話からの抜粋でしたよ。
「未来少年コナン」のレイアウトもざっと見た印象では未来少年コナン資料レイアウト集と同じ絵はなかったです。
「名探偵ホームズ」は「小さな依頼人(TV放送時タイトル「小さなマーサの大事件!?」)」「青い紅玉」「海底の財宝」「ソベリン金貨の行方(TV放送時タイトル「ねらわれた巨大貯金箱」)」から。
難点を言うなら、掲載されているレイアウト数が作品によってかなり偏りがあるということ。
「魔女の宅急便」が折りたたみページも含めて2枚しか載ってなかったのは、ちょっと悲しかったです。
小品の「On Your Mark」より枚数が少ないって…(苦笑)。
「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などが枚数多め。ただし、「もののけ姫」のレイアウトは「The art of the Princess Mononoke―もののけ姫」に載っているレイアウト集とかなり重複しています。
「The art of the Princess Mononoke―もののけ姫」には、物語終盤の宮崎駿監督担当のレイアウト掲載。レイアウト展の「もののけ姫」レイアウトはストーリー全体からまんべんなくとりつつも、やはり宮崎駿監督担当分を多めに載せているので重複するのは仕方ないですね。
THE ART OF the Princess MONONOKE(もののけ姫)の感想はリンク先に載せているので、気になる人はどうぞ。「もののけ姫」だけに興味がある人には「The art of the Princess Mononoke―もののけ姫」の方がいいかもしれません。
「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「天空の城ラピュタ」などの人気作もほどよく。その他作品は人気度にあわせて(?)載ってます。
特定のジブリアニメにしか興味が無い人には、その作品の絵の枚数が少ないとがっかりかもしれません。でもジブリアニメ全般が好きな人は充分満足できるボリュームだと思います。
「ジブリの絵コンテはほぼそのままレイアウト」という話をどこかで聞いた気がするので、この図録に載っている「天空の城ラピュタ」のレイアウトと天空の城ラピュタ スタジオジブリ絵コンテ全集〈2〉の該当カットと見比べてみました。
…うーん、たしかにほぼ同じですね。絵コンテよりも小物や背景が精密になってますが、ほとんど同じ。パズーの手の中にある飛行石のペンダントのヒモの描写が絵コンテより見栄えのいい絵になっているとかありましたが。
とはいえ、ムスカの表情や構図が絵コンテとレイアウトではやや異なっているものがありました。絵コンテではムスカと同じ高さの目線だった絵が、レイアウトではやや下から見上げるような構図に変わってました。
ムスカとシータが話しているシーンだから、やや下から目線に変えたのは「シータと同じ目線で見ることによって観客が感情移入しやすい」とかそんな理由でしょうか。
そもそもレイアウトって何?という人にも、この図録にはレイアウトについて語られている文章がいくつかあるので読めば説明不要だと思います。
以下が文章を寄せている方々とそのタイトルです(敬称略)。
- 「レイアウトはアニメーション映画制作のキイ・ポイント」高畑勲
- 「レイアウト変遷史 -東映動画創設から現代まで-」大塚康生
- 「映画『ゲド戦記』を制作しながら学んだ、絵コンテとレイアウトの重要性」宮崎吾朗
- 「ジブリアニメの二つの遠近法」藤森照信
- 「動画の卵」山口晃
- 「宮崎駿のレイアウトと『アルプスの少女ハイジ』の革命」小黒祐一郎
宮崎吾朗さんの「制作しながら学んだ」に「学んでから制作してよー」とツッコミ入れたいところですが自重(笑)。
一つ一つのレイアウトに解説はついていませんが、レイアウトの重要性についてはこれらの文章を読めば素直に納得できます。
まあレイアウトのよしあしとか難しい話は置いといて、「かわいいー!! 」と大きなジブリキャラの絵を堪能するのもアリです。
スタジオジブリ・レイアウト展はまだ国内巡回展やってるんですね。2010年1月11日までは青森。その後もまだどこかでやりそうですね。
だからレイアウト展図録を買うには、巡回展をやっている美術館へ行けば買えます。それはいいんですが、実物を見た人ならご存知の通り、この図録大きくて厚みがあって重いんですよ。
美術館で買って持ち帰るなら、覚悟して買いましょう(笑)。もちろんそれだけの価値はあります!!
- タイトル:スタジオジブリレイアウト展図録
- 出版社・発売時期:2008年夏
- 総合評価:
内容紹介
- 2008年夏に東京で開催されたスタジオジブリレイアウト展の公式カタログ
- 風の谷のナウシカ
- 天空の城ラピュタ
- となりのトトロ
- 火垂るの墓
- 魔女の宅急便
- おもいでぽろぽろ
- 紅の豚
- 海がきこえる
- 平成狸合戦ぽんぽこ
- 耳をすませば
- On Your Mark
- もののけ姫
- ホーホケキョとなりの山田くん
- 千と千尋の神隠し
- 猫の恩返し
- ギブリーズepisode2
- ハウルの動く城
- ゲド戦記
- 崖の上のポニョ
- アルプルの少女ハイジ
- 母をたずねて三千里
- 未来少年コナン
- 赤毛のアン
- ルパン三世
- じゃりン子チエ
- 名探偵ホームズ
宮崎駿・スタジオジブリ関連アニメ
- 風の谷のナウシカ
- 天空の城ラピュタ
- 名探偵ホームズ
- となりのトトロ
- 魔女の宅急便
- 耳をすませば、On Your Mark
- 紅の豚
- もののけ姫
- 千と千尋の神隠し
- ハウルの動く城
- 崖の上のポニョ
- 借りぐらしのアリエッティ