正式タイトルは「ROMAN ALBUM 電脳コイルビジュアルコレクション」なのね。電脳コイルのムックは「ROMAN ALBUM」つけすぎ!どれも「ROMAN ALBUM」か!とツッコミ。
「ビジュアルコレクション」というとイラスト集をイメージする人が多いと思うけど、アニメ本編の原画集がメインで、絵コンテ用イメージラフ、版権イラスト&原画集がついてます。カラーは版権イラストのみ。
- 版権イラスト&原画集
巻頭の16ページが電脳コイルの版権イラスト&イラスト原画集(もしくはレイアウト)。イラストの原画(またはレイアウト)は色鉛筆で影塗りわけされてますが、ほとんど白黒と思っていいです。そして、その完成イラスト。これはもちろんカラー。
キービジュアルなど、他のムックにも載っているものも一部アリ。基本的には後半以降に発売されたアニメージュ掲載の版権イラストです。
見どころとしては、もちろんロマンアルバム発売以降にアニメージュに掲載された版権イラスト集。中学生になったヤサコ、イサコ、フミエ、ダイチ、ハラケンのイラストとか。井上俊之さんのレイアウトがステキすぎる!!
電脳ペット大集合イラストもいいよね。磯光雄監督がどういうストーリーでこのイラストを描いたかわかるメモ付のレイアウトもあり。
個人的には原画よりレイアウトの方が好きなので、うれしいです。
- アニメ本編原画、作監修正、レイアウト集
この本の中で一番ページを占めている、「電脳コイル」アニメ本編で使われた原画、そして作画監督修正、レイアウト集。一部タイムシートもついてます。
原画はどちらかというと、動き重視で選んでる気がします。動きを見せるために枚数がたくさん載っているシーンは、絵が小さいですけどね。
ヤサコが、イサコが、フミエ、ダイチ、メガばあ、京子が走る走る!あらためて原画をじっくり見ると、走るシーンは自然に見える動きにわずかなウソ(マンガ的な動き)を加えてる印象ですね。人が見て不自然に見えない動きをきちんと描いているから、わずかなウソが効果的に生きてる感じがします。
幼ヤサコが仔犬デンスケを抱き上げるほのぼのシーンもいいし、フミエに食パンの上にどっさり納豆をのせられたアキラが目をむくコミカルシーンもイイ!
単なる原画、作画監督修正集にせずに、レイアウトを載せているのもいい!原画や作監修正ばかりだと、単調で飽きちゃうんですよ。シロウト的に。
8話の夏祭りの総作監修正レイアウトラフ(ってことは井上俊之さん)が…かわいい!! 浴衣のフミエもアイコもヤサコもダイチ、ハラケンもかわいすぎる!8話は原画少々で、ほとんど総作監修正レイアウトラフ。大きめに載せてくれてるのがうれしいです。
8話はイサコ三角座りの表情もいいですね。放送時には見逃しがちなカットをじっくりみられるのがすごくいいですよ。
17話のヤサコとハラケンの図書館前での会話。監督がかなり細かく演技をつけてます。5ページにわたってレイアウトと監督修正が対比する形で載せてあるので要チェック!
- 絵コンテラフ集
磯光雄監督が各話絵コンテ担当者に絵コンテを発注する際に描いた、ストーリーボード的なラフ絵集(10話のみ平松禎史さん)。
絵コンテ用紙に描いているものもあれば、紙に適当に区切り線をいれて描かれたものも。
アニメーター出身の監督は、こうやって絵で説明できるから便利ですよね。ラフにざくざく描かれた勢いのある絵がステキです。
あと、アニメージュ2008年2月号の「free space」で掲載された、井上俊之さんの「ヤサコの描き方(?)」アドバイスも再掲。アニメージュよりきれいな鉛筆線で載ってますよ。買い逃した人、必見!
正直店頭でパラパラめくってみたときには、「後半の版権イラスト入れたんだ。アニメ原画ちっさー、絵コンテラフはいいよね。でも高くない?コレ」くらいの感想。
特に動きで枚数使っているアニメ原画は、紙面の都合上どうしても小さく…。本屋さんで見たときはそこばかり印象に残っててちょっと不満でした。ラフ好きとしては、もっと絵コンテラフ多めでもいいのに。くらいの勢いでした。
でも、家に帰ってじっくり見てみると…やっぱりこれで充分かも、と思えてきました。原画は何度も見返していると、新たな発見があるし。思った以上に本棚から取り出して何度も見返してます。
惜しむらくは各原画を担当した人の名前が載っていないこと。巻末に各話原画スタッフがまとめてあるので「この絵は…さんでは?」とあたりをつけて調べるのも、作画マニア的楽しみの一つと割り切るといいかも。
ちなみに同人誌の「久保田誓 ANIMATION WORKS」に載っている「電脳コイル」の久保田誓さん担当分の原画も、ほとんどこのビジュアルコレクションに載ってます。
「久保田誓 ANIMATION WORKS」の方がちょっと尺が長めに(=枚数多めに)載っている程度。26話に関しては、あっちにしか載ってないシーンもあるけれど。よほど久保田誓さんファンでもなければ「電脳コイルビジュアルコレクション」の方が得かな。
- タイトル:電脳コイル ビジュアルコレクション
- 出版社・発売時期:徳間書店(2008-07)
- ページ数:287
- 総合評価:
内容紹介
- 電脳コイル原画集
- 版権イラスト&その原画・レイアウト
- アニメ本編原画
- 絵コンテラフ集