「コクリコ坂からビジュアルガイド~横浜恋物語~」は、スタジオジブリのアニメ映画「コクリコ坂から」のガイドブック。最近の角川はロマンアルバムより先にガイドブックを出して、売り切る戦法に出てますね(笑)。
アニメファンというより一般人向け。大きな本で、フィルムストーリーがあって、ちょっとした解説アリ、監督その他メイン声優のインタビューあり。
イメージボード、背景美術、美術ボードなど。メイキング用のビジュアル資料もあるけれど、あまり重点は置いていない。けど、ちょっとは載っている。そういう本です。
む、なんだか身も蓋もない説明ですね(笑)。
でも「アニメ映画『コクリコ坂から』について一通りの知識を得たい」という人には、値段相応にほどほどの知識が得られるガイドブックですよ。
ロマンアルバムより値段が手頃。「コクリコ坂から」に関して最速!だけじゃなくて、今のところ最安!のガイドブックだと思いますよ。
とりあえず、中身の説明。
本の大きさは、A4縦よりやや小さい程度。わりと大きいサイズの本。表紙は「コクリコ坂から」キャラクターデザインの近藤勝也さん描き下ろしです。
1ページ目に宮崎駿さんが描いたポスターの絵が載ってます。
- 横浜の町ガイド
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横浜MAPあり。「コクリコ坂の舞台を歩こう」という切り口で、横浜の町の写真やアニメのカットで説明。
「コクリコ坂から」の舞台をめぐるモデルコースも紹介されていて、今流行の「『アニメで町おこし』で聖地巡礼客を狙ってるのか!?」とツッコミたくなります。
とはいえ、コクリコ荘にはモデルとなった特定の西洋館があるわけではないので、ちょっと弱いかな(笑)。
コクリコ坂のモデルは谷戸坂の裏坂の方だそうです(写真も載ってます)。あくまでイメージとしてのモデルだそうですが。
それから世界観的な説明として、国際信号旗の説明が2ページ。
A~Zまでの旗とその意味の説明、そして2号信号の例も少し載ってます。コクリコ坂に出てくる国際信号旗の意味を知る程度なら、これで充分でしょう。
- フィルムストーリー
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たくさんのアニメ画像が挿絵的に使われていて、「コクリコ坂から」の物語を文章で読むことが出来ます。
映画「コクリコ坂から」を見たことがない人でも、これを読めばあらすじは全部わかりますよ。
画像の多い絵本みたいなかんじですね。
この本はA4で大きいためか、「借り暮らしのアリエッティ」のときの角川書店のガイドブックと違って、脚注がついています。
「俊の右手の包帯の意味」とか、「海が旗をあげる理由」とか、「LSTについて」とか、ちょっとしたギモンに説明がついているので、物語の理解に便利です。
でも俊の包帯の意味って本当にこんな理由なんでしょうか? もっと深い理由があるのかと思っていたのですが。まあ少女マンガ的といえばそうですけどね。
- ジブリの制作現場の写真集&コクリコ坂ができるまで
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スタジオジブリの制作現場の写真集が2ページ。
漫画「コクリコ坂ができるまで」はよく「あるアニメーションができるまで」の説明漫画です。
企画から始まって、脚本・イメージボード・絵コンテ作成だの、レイアウト~作画を経て、撮影、編集・音響、そして完成までの一連のフロー。
メイキングの素材も少し使われていますが、正直アニメファン的にはどこかで1回ぐらいは目にしているフローの説明なので食傷気味です。
でもアニメに興味がなかった人には、新鮮で面白く見えるかもしれませんよ。
- キャラクターイメージボード、背景美術・美術ボード
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キャラクターデザインの近藤勝也さんが描いたキャラクターのイメージボードが5ページ。
海、俊、水沼、コクリコ荘の人々など。もちろん海と俊の絵が多いです。海の家族の空、祖母のイメージボードは載っているのに、陸が載ってないのは不憫ですね(笑)。
スタジオジブリの出しているメイキング本「ジ・アート・オブ・コクリコ坂から」と見比べてみたら、この「コクリコ坂からビジュアルガイド~横浜恋物語~」の方が海のセーラー服姿がたくさん載っています。
そのほかにも海、俊に関しては、「ジ・アート」に載っていない絵が少しあります。
キャラに関しては海、俊、水沼、空の絵は大きめで見やすいですが、他のキャラの絵は小さいです。
設定画マニアとしては量的に物足りませんが、絵の資料にする分にはメインキャラだけならこれでもいけるでしょう。
背景美術・美術ボードは6ページ。カルチェラタン多目ですが、街の各所の絵も載ってます。
- スタッフインタビュー(モノクロ)
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スタッフインタビュー集。宮崎吾朗監督は2ページ。その他の人は各1ページずつ。以下、敬称略。
- 宮崎吾朗(監督)
- 鈴木敏夫(プロデューサー)
- 丹羽圭子(脚本)
- 近藤勝也(キャラクターデザイン)
- 長澤まさみ(松崎海 役)
- 岡田准一(風間俊 役)
- 武部聡(音楽)
- 手嶌葵(主題歌)
宮崎吾朗さんも監督2作目ということで、少しは成長したような…という印象のインタビューでした。
でもやっぱりアニメ業界への転身が遅すぎた感はあるんですよね…。
はい、だいたいこんなかんじですね。
こんなふうに、アニメ映画「コクリコ坂から」を全く見たことがない人でも一通りの知識が得られる本です。
ストーリーの脚注はあまり深い解説はしていませんが、ちょっとした「わかりにくさ」を解決してくれる程度にはついてます。
アニメのガイドブックに必要なものは、お手頃な値段相応に取り揃えているので「ちょっと知りたい」くらいの人にはいいと思いますよ。
「宮崎吾朗監督作品でしょ? (今回は)どうなのよ? 」とその出来に懐疑的な人(笑)が、試しに手にしてみるにも手頃な本じゃないでしょうか。
- タイトル:コクリコ坂からビジュアルガイド~横浜恋物語~
- 出版社・発売時期:角川書店(角川グループパブリッシング)(2011-07-16)
- ページ数:103
- 総合評価:
内容紹介
- 「コクリコ坂から」最速ガイドブック
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