復刻されたので、読んでみました。東考社版というものです。貸本版の全3巻を1冊にまとめています。読んでビックリ「悪魔くん千年王国」と基本プロットは一緒なんですね。
太平洋電気の社員・佐藤が社長にたのまれて、社長の一人息子の一郎(悪魔くん)の家庭教師になるという始まり方です。
十二使徒は蛙男とヤモリビトしか登場しないし、ソロモンの笛は八仙人にとられたっきりだし。よびだした悪魔が、髪型真ん中分けのポマードで、八の字口ひげとあごひげのある男(アニメ「悪魔くん」でいうところのロソン)など、千年王国とは結構違ってます。
特に後半の展開は千年王国と違っていて、まとめっぷりはすごい…。「7年目によみがえる」というのはこちらのバージョン。
最近「貸本版 墓場鬼太郎」を読んだばかりなので、絵にはあんまりびっくりしませんでしたが、イマドキのマンガしか読んでない人がいきなり読むとびっくりするかもしれません。
コマの割り方が単純だとか、トーンを使ってないとか(カケアミもテキトー)。水木しげるさんといえば点描というイメージですが、それもなし。
でもストーリーはゆるかったり、すごかったり。
悪魔くんVSサタン氏で、助ける代わりに1兆円を要求する悪魔くん。「死んだほうがいい」と値切るサタン氏。どっちもどっちです。
結局サタン氏から9千億まきあげたのに、次の巻では9千万円になってたり。この程度の設定のユルさに驚いていたら、水木マンガは読めないのでスルーです。
戦車の機関銃を「バババ、ダダダダ」と撃ちまくる悪魔くん。そのまま戦車で逃亡だ! でもこの程度で驚いていたら「千年王国」のさらに派手な展開についていけないので、全然平気だYO!
この本、東考社ホウムラン文庫版のカバー集がカラーでついていたり、各巻の冒頭ページがカラーで、当時の雰囲気が少し味わえるのもいいかんじ。
そして当時の各巻末についていた読者コーナーまでついています。「ちびっこ広告図案帳―ad for KIDS:1965‐1969」などで当時の雑誌の文章を知っていると、さほど違和感もないですが…。たかだか40年ほどで文体ってすごく変わるんだなーと感心します。でも読者のノリは今も昔も変わりませんね。
- タイトル:悪魔くん 貸本版
- 出版社・発売時期:チクマ秀版社(2007-06)
- ページ数:413
- 総合評価:
内容紹介
- 貸本(東考社版)悪魔くん
- 東考社ホウムラン文庫版のカバー集(カラー)
- 全3巻分のまんが
- 全3巻分の読者コーナー
- 解説ほか
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