「ターンエーガンダム Vol.2 ニュータイプ100%コレクション」は角川書店から出たニータイプ100%コレクションの中の1冊。
vol.1がアニメ前半分で、このvol.2が後半(28話~最終話まで)ガイドブックです。
本放送当時に発売されたガイドブックは、講談社の「∀ガンダム全記録集」もあります。でも最終話まで完結してません。
キャラクター設定画やモビルスーツやその他メカの設定画なら、放送終了して7年後の2007年に発売された「∀(ターンエー)ガンダム・アートワークス」がしっかりまとめてありますが、スタッフ裏話が読める本となるとこのニュータイプ100%コレクションの「ターンエーガンダム」vol.1、vol.2がいいんじゃないかと思います。
Vol.1、vol.2あわせれば、全話分カバーできますから。
ターンエーガンダム Vol.1(ニュータイプ100%コレクション)の感想は既に書いたので、ここではvol.2の感想を。
- 版権イラスト集
表紙カバーは描き下ろしイラスト。やっぱり後から∀(ターンエー)ガンダム・アートワークスにも収録されてたので、この本でしか見られないというわけではありません。
その他の版権イラストはおそらく「月刊ニュータイプ」に掲載された版権イラストをvol.1とvol.2の2冊に分けて載せているみたいです。アートワークスに載っていないイラストもあります。
初出が書かれていないので、絶対とまでは言えませんけど。この本にあるイラストと同じものが1枚だけ「∀(ターンエー)ガンダム・アートワークス」に入ってますが、それの初出が「月刊ニュータイプ」になっているので、たぶん合ってると思います。
難点はvol.1同様、イラストの上に文章(ストーリー紹介など)が載っている絵があるということ。
これ、なんとかならなかったんでしょうか…?
- キャラクター紹介(カラー)
vol.1とほぼ同じ構成。名場面カット、キャラクターの名セリフなど。
ロラン、ソシエ、ディアナ、キエルはそれぞれ紙面を多めに割いて、各話での行動などもまとめてあります。
その他のキャラクターに関してはカラーの設定画があるものもあれば、画面キャプだけのものも…。
- メカ設定画集(カラー)
カラーのメカ(MS)設定画集。前半登場メカの全身前・後のカラー設定画など。
一部設定画が載っていなくて、名場面画像だけのものもあるので要注意。
- エピソードガイド(モノクロページ)
「∀(ターンエー)ガンダム」28話~最終話までの各話の流れを追いつつ、
- ストーリー解説
- 声優コメント(ない場合も)
- スタッフの視点の舞台裏話
- 各話に登場したキャラクターやメカ設定画(線画)
を紹介してます。各話で1ページか2ページ。
ストーリー解説はなぜかvol.1のときと違って、物語のあらすじになってます。
声優コメントは各話に1人ある場合もあれば、ない場合も。
vol.1の声優コメントはロラン、ソシエ、ハリー、グエン、キエル&ディアナその他数人というメインキャラ中心の構成でした。
このvol.2ではサブキャラ中心で人数も増えてます。
切なかったのがジョゼフ役の佐藤せつじさんのコメント。
vol.1で「ジョゼフは主人公ロランのライバルに成長する予定だった」という話があったのですが、佐藤さんもそれを聞いてがんばっていたらしいのです。
それはそうでしょうね。「ガンダム」で主人公のライバル役と言えばかなりの重要ポジション。期待が膨らむのも無理はないです。
ところが予定が変更になって…「ギンガナム登場で僕の野心も途絶えました」のくだりには哀愁が漂ってました。
佐藤さんが作中で素で叫んだというジョゼフのセリフ。これから「∀(ターンエー)ガンダム」を見る人は、ほろ苦さをかみしめてあげてください。
「スタッフの視点から」と題した舞台裏話は面白かったです。「この頃からスモ―売り上げ強化月間」とか、50話もあると放送期間が1年あるので制作側もいろんな数値を見ながらいろいろやってるんですね(笑)。
設定画はキャラクターやメカや小物の線画設定集。
vol.1同様とにかく数をたくさん載せるよりも、魅力的な絵だけ抜粋して大きく載せるというまとめ方。
量的にたくさんの絵が見たい人は∀(ターンエー)ガンダム・アートワークスの方がいいと思います。
- 背景世界解説(モノクロ)
-
ターンエーガンダム前半に登場した各地の美術設定線画と簡単な解説がついてます。
- ∀(ターンエー)ガンダムの企画開始からの企画書やストーリー構成案と変遷
たぶんこの本のイチオシ目玉ページ!
安田朗さんのイメージスケッチ、∀(ターンエー)ガンダムの企画が始まってから書かれた企画書やキャラクター案、ストーリー案など、その変遷をまとめた解説付きページ。
まだ「∀(ターンエー)ガンダム」ではなく「環(リング)ガンダム」だった頃の企画書やキャラクターのラフ絵、企画意図などの文章から始まって、初期のストーリーメモ、富野由悠季さんのストーリー構成案など。
かなり興味深い内容が目白押しです。
いくつか絵もありますが、文章の方が多め。かなり内容濃いです。解説付なのもいいですね。
グエンやハリーのバッドエンド案(いや、グエンは放送版でもちょっとアレでしたが(笑))もあったんですね。
角川スニーカー文庫版の「∀(ターンエー)ガンダム(著:佐藤茂)」やハルキノベルスの「∀(ターンエー)ガンダム(著:福井晴敏)」の元になったストーリーメモものってます。
予想通りハードな内容でした。
- 脚本家・星山博之インタビュー(2ページ)
「機動戦士ガンダム」の頃からの富野ガンダムスタッフで、「∀ガンダム」でも1話をはじめ主要なストーリーの脚本に関わった星山博之さんのインタビュー。
- 最終話「黄金の秋」シナリオ完全収録
最終話の「黄金の秋」のシナリオを完全収録して、脚注に解説もついてます。
- 総監督+声優座談会(8ページ)
主要声優さんたちと富野由悠季総監督の座談会。メンバーは以下の通り。
- ロラン・セアック(朴ろ美さん(「ろ」は王へんに路))
- キエル・ハイム/ディアナ・ソレル(高橋理恵子さん)
- ソシエ・ハイム(村田秋乃さん)
- グエン・サード・ラインフォード(青羽剛さん)
- ハリー・オード(稲田徹さん)
- 富野由悠季総監督
後半の設定画なども載ってますが、見どころはやはり読み物。
読み解いていけば初期ストーリーと放送バージョンの違いなど、あますところなく楽しめる1冊。初期の企画意図とか興味ある人は必見!
この本を読むともう一度「∀(ターンエー)ガンダム」が見返したくなりますね。
- タイトル:ターンエーガンダム〈Vol.2〉ニュータイプ100%コレクション
- 出版社・発売時期:角川書店(2001-02)
- ページ数:95
- 総合評価:
内容紹介
- 「∀(ターンエー)ガンダム」のガイドブック後半
- 版権イラスト集(おそらくニュータイプのみ)
- キャラクター・メカ・小物・美術設定線画(後半分)
- 後半各話ストーリー解説
- 初期プロット、企画書等
- 富野由悠季・総監督とメイン声優座談会
- スタッフリスト(後半)
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