NHKアニメ「白鯨伝説」の原作本というとやや語弊があるかもしれません。

この本の著者は出崎統(本の表紙に記載されているまま)さん・杉野昭夫さん。たしかにこの本が原作ですが、シナリオ本ではありません。

タイトルどおりアニメーションの制作技法の本です。

企画書、ストーリィ、シナリオの作成から、キャラクター設定、絵コンテ、原画・動画そして演出、美術、撮影など。セルアニメの制作について主に出崎(正しくは「崎」の異自体ですが表記できないので代用しています)監督が語り、作画に関しては杉野さんがコメントをつけています。

そのアニメーションの作成例として「「4701白鯨」のパイロットフィルムを作成をする」というテーマで一連の製作過程が上げられているわけです。

ですから、この本を読めば「白鯨伝説」の本編ストーリーがわかるというわけではありません。パイロットフィルムのメイキング本という印象ですね。


文章よりも設定画、絵コンテ、作画例などの絵が多いです。

アニメ「白鯨伝説」のキャラクターデザインは高谷浩利さんですが、この本のキャラクターデザインは杉野昭夫さん。カラーのイメージスケッチも数枚載っていて、杉野さんのファンにはたまりません。

「杉野昭夫さんの「白鯨伝説」の絵を見ることができるのはこの本だけ!」というと大げさかな?

モノクロのキャラクター設定もたくさん。エイハブ船長、デュウ以外の設定画もありますが、名前が決まっていないキャラが多いですね。ラッキー・ラックはいないし。

絵は何となく「11人いる!」の頃の絵に近いようなかんじです。デュウの表情集、ポーズ集がイイ!


絵コンテはもちろん出崎監督。監督がイメージしたキャラクター・ラフもあり。

作画演出例では透過光、マルチプレーン他、ハーモニーについても語られています(ない方がおかしい!)。パイロットフィルムのラストカットも当然ハーモニーですよ。ファンなら見なくてもわかりますよね?

アニメについて、演出について、やっぱり出崎節炸裂。

丸ごと一冊出崎監督トーク。そして杉野昭夫さんの作画がてんこもりの本です。ちょっと古いけどファンなら一読しておくべし。

タイトル:アニメーション制作技法―『4701白鯨』を創る
出版社・発売時期:創芸社(1994-12)
ページ数:158
総合評価:4

内容紹介

  • セルアニメ制作のハウツー本(「4701白鯨」パイロットフィルム制作)
  • 「4701白鯨」パイロットフィルムの絵コンテ(全32枚)
  • 企画書、シナリオ
  • キャラクター設定、メカ設定
  • 作画演出例など

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