最近のスタジオジブリ作品のロマンアルバム同様、フィルムストーリーやキャラクター紹介、設定画などで構成されています。
キャラクター設定は線画6ページ。キャラクターデザインはハウルの時と同じメンバーですが、監督が違うので絵の雰囲気は異なります。遊びの入った身長対比図に笑いました。
宮崎駿監督作品ではないため、イメージボード集がないのも物足りない気もします。
原画コレクションの見どころは冒頭の暴れる竜…ではなくて、首輪アレン。目を覚ましたシーンの一連の原画が載っています。
キャストコメントはテルー役の手嶌葵さん以外は「『ゲド戦記』完成披露記者会見」の内容のみです。
ル=グウィンさんの「ゲド戦記」を先に読んでいた私には、スタッフインタビューの内容はやや衝撃的でした。
ロマンアルバムといえば徳間書店。「スタジオジブリは徳間書店の傘下だから好意的な記事しか載せないのでは?」と思ったあなたの情報は古い!「ハウルの動く城」まではそうでしたが、スタジオジブリは2005年4月に独立しています。
「ゲド戦記」製作委員会にも徳間書店の名前はありません。関連商品を扱っているため無関係というわけではないと思いますけれど…。そのためか、インタビューがわりとつっこんだ内容に感じます。
監督、プロデューサー、脚本の単独インタビューは、それぞれの立場での個別インタビュー。あわせて読むと、今回の映画が宮崎駿監督引退後のスタジオジブリのモデルケースのようなものだと感じます。
プロデューサー(=現スタジオジブリ代表取締役社長)の意向が強いためか、アニメ制作をビジネスとして割り切っているかんじが強かったような…。
メイキング系の裏話やビジネス話も好きな私ですが、宮崎駿監督のアニメクオリティがあればこのくらいビジネス的でもいいと思うのですよ。アニメ作りにはお金がかかるし。でも今回は「宮崎吾朗第一回監督作品」だから…こういうインタビュー内容だとちょっと反感買いそうですよ。
動画チェックのお二人みたいに、仕事に対する真剣な姿勢が感じられるインタビューの方が好感度が高いです。
ゲド戦記とは切り離して、企業ドキュメンタリーと割り切って読むなら興味深いと感じるかもしれません。社長さんから若手スタッフまでのインタビューです。ジブリの今後の方向性が読み取れるような気がしますよ。
ビジュアル資料からインタビューまでこれ一冊でほぼ充分なので、「宮崎吾朗監督の『ゲド戦記』」が好きなら楽しめるのではないでしょうか。
- タイトル:ゲド戦記―TALES from EARTHSEA (ロマンアルバム)
- 出版社・発売時期:徳間書店(2006-08)
- ページ数:153
- 総合評価:
- 内容:アニメ映画「ゲド戦記」ガイドブック
- フィルムストーリー
- キャラクター紹介
- 原作紹介
- 用語集
- キャラクター設定(6ページ)
- 原画コレクション(6ページ)
- スタッフインタビュー
- 美術ボード(カラー10ページ)
- …etc.
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