スタジオジブリ絵コンテ全集15 ゲド戦記 感想

ゲド戦記の絵コンテ集は宮崎吾朗監督と作画演出の山下明彦さんの共同作業で作られています。シーンによって絵が全く異なるため、どちらが書いた部分なのかわりとわかりやすいですね。

宮崎駿監督の絵コンテのように、細かい描きこみや絵コンテを漫画的に楽しみたいシロウトさん向きではないですね…。吾朗監督の絵は上手下手以前になんだか温かみが少ないので…。


私のような素人目に見ても、レイアウト(絵の構図)は宮崎駿監督の絵コンテと比べて単純(というか平凡?)になっている印象が。

そういう意味でも面白みが減っているかも。アレンにハートを飛ばす馬とか描いてる場合じゃないですよ、吾朗監督。

吾朗監督のいう「新古典主義(=シンプルな絵で、力強いアニメーションを)」もうまく伝わってこないかんじです。

そもそも「ゲド戦記」は古い作品。シンプルな絵で作ると「古臭いアニメ」に見えるのは仕方がないですよ。もともと原作の「ゲド戦記」はあんまりヴィジュアル的な見せ場の多い話ではないので。

私も吾朗監督と近い年代だから、「やりたいこと」はなんとなくわかるような気もするけれど、それがゲド戦記向きの演出かというと…。

劇場に行く人がジブリに求めているものからはずれ気味というか、サービス不足のように感じました。


絵コンテを見ていて思いましたが、ジブリにしては珍しく今回はかわいい動物や小さな子供が出てこないのですね。もののけ姫以来?

でも「もののけ姫」では人間的魅力を持ったキャラクターや、かわいくはないかもしれないけれどコダマや山犬の会話(サンの兄弟?)なんかが緊迫したストーリーを和らげていたし。

宮崎駿監督が入れていたそういう細かい「サービス」が不足しているので、間口が狭くなっているようにも感じました。


スタジオジブリ次回作は宮崎駿監督で「崖の上のポニョ」。制作決定のニュースでは宮崎駿監督から吾朗監督についてのきつい一言があったり、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも「初めてにしてはよくやったっていうのは演出にとって侮辱だからね(以下略)」という言葉が…。

厳しいように聞こえるけれど、監督の親としての愛情をちょっと感じた言葉でした。こういうことを言ってくれるのは親だけですよ。他人はここまで言ってくれないもの。

吾朗監督がこれからもアニメを作っていくなら、「崖の上のポニョ」に参加して勉強していくのかもしれませんね。

タイトル:ゲド戦記 (スタジオジブリ絵コンテ全集)
出版社・発売時期:スタジオジブリ(2006-07)
ページ数:437
総合評価:2
内容:アニメ映画「ゲド戦記」絵コンテ集

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