コミックボンボンとデラックスボンボンで90年から93年にかけて連載された「鬼太郎国盗り物語」。アニメ「悪魔くん」の放送が90年3月までだから、コミックボンボンで連載されていた「最新版悪魔くん」の後の連載だったのかもしれません。

ゲゲゲの鬼太郎アニメ4期は96年放送開始だったので、アニメとはあまり関係ない内容になってます。角川文庫で再発売されているので読んでみました。

地上支配をたくらむ地下帝国ムー。迎え撃つのはゲゲゲの鬼太郎とその仲間たち。というかんじで、どこの特撮モノかといいたくなる現代的(?)な設定ですが、絵柄とユルさはやっぱり鬼太郎でした。

全体を通したストーリーはあるものの、基本的に悪い妖怪と戦って倒すという1話完結。途中の巻から読み始めて多少わからない設定があっても、全く楽しめないということはないと思いますよ。

鬼太郎国盗り物語第1巻感想

鬼太郎国盗り物語 1 (1) (角川文庫 み 18-13)
鬼太郎国盗り物語 1 (1) (角川文庫 み 18-13)

第1巻は11話収録(雷虎、エンバン、妖怪大口、おどろ砂、旧鼠王【前】【後】、ラグレシア、金霊、決戦!箱根城!!【前】【後】)。

第1話の「雷虎」から、いきなり鬼太郎が食べられてます。「人間ロケット」「毛バリミサイル」とか、必殺技の名前が出てくるのがやや違和感ですがキニシナイ。

ムーの動きを知らせに、鬼太郎の兄・寝太郎登場。…えーっ、鬼太郎も知らなかった兄登場?でも目玉おやじが認めてるんだから、兄さんいたのね。…隠し子か!? しかし、寝太郎兄さんは溶けちゃったので、ツボに入れて再生待ち。

ねずみ男はあいかわらずで、ムーのガイコツベビーと結託してトコロテン屋を開業。もちろんあくどい商売です。

ねこいらず屋の店長・毒娘も登場。ぱっと見20代というかんじの美人キャラ。髪型がワンレン風なのは、いかにも90年代。流行だって取り入れちゃうよ! でも服装はボディコンじゃないのよ。水木プロのボディコン・キャラも見たかったかも。

かわいい顔して、ダンプだって運転しちゃう毒娘。大型ダンプに見えるけど免許とったのか…マンガだから細かいことはいいか。

旧鼠王に体毛を移植された鬼太郎が、ネズミにメタモルフォーゼ。毎度体をはってます。

毎回ムーの刺客がやってくるのに、南方で会議をしようといいだす妖怪たち。いかだで出発して2、3日で南方の島に着いちゃうのか!島の美しいお嬢さんも明らかに外国の人ですよー。

金霊の話では、黄金光線をうけて全身が黄金に変えられそうになる鬼太郎。見ていた人たちの「トンカチでこわしてもってかえろう」っていうのがシビアです。いくらバブル期だからってねえ。

金霊の元の姿が「なべのフタくらいの大きさの10円玉」というのがいいですね。5円でも100円でも500円なく、10円。昭和世代的に「わかる、なんとなくわかる」金銭感覚です。

本格的な戦いにそなえて、妖怪城にたてこもる鬼太郎たち。妖怪存亡の危機に、ぬらりひょんが馳せ参じます!

ぬらりひょんの号令一下、突撃する輪入道部隊、一つ目部隊、狸部隊、カラス天狗飛行部隊。しかし敵の使ったひとだま爆弾に次々と倒れる妖怪たち。

動揺し、総退却を口にする妖怪たちに、ぬらりひょんの一喝!「だめ!! 退却する必要もないし 城もまもれる」。なにこのカッコいいシーン。

一般的に、主の留守に家に入りこんで我が物顔でふるまうといわれる「ぬらりひょん」。食い逃げおやじみたいなイメージですが、ゲゲゲの鬼太郎では結構いいポジションなんですよね。こんな見せ場がくるとは!?


鬼太郎国盗り物語第2巻感想

鬼太郎国盗り物語 2 (角川文庫 み 18-14)
鬼太郎国盗り物語 2 (角川文庫 み 18-14)

第2巻は9本の話を収録(八百比丘尼、ゴーストカー、ムーの潜水艦、人面瘡、ガジュマルの精、五徳猫、ゴルゴーン、鬼太郎カンヅメ、元興寺)。

「そこの古道具屋」で車を買うメガネに出っ歯のお父さん。出だしからおかしいけどツッコんだら負け? 朧車でゴーストカーとデッドヒートをくりひろげる鬼太郎。鬼太郎はハンドルを握ってますが、なぜ朧車にハンドルが…。何、ブレーキ!? どこについてるのよ。

そして寝太郎再生。7年かかると言ってたのに、1ヶ月前に入れた再生液がきいたとか。ユルい、ユルすぎる。

子泣きじじいの親類が副総理をやってたり、メカ鬼太郎が登場したり、荒唐無稽の度合いが1巻より増してます。

今度はイカダで沖縄行きですが、東京-沖縄で3ヶ月かかってます。イカダだから仕方がない…けど、1巻で南方まで2、3日で行ったジャーン。まあいいけど。

沖縄ということで、シーサーが登場します。シーサー父さん・シーサー母さんがいいかんじ。こういう夫婦はあこがれるね!

西洋妖怪ゴルゴーンに、役の行者三十世、元興寺(がごぜ)など、いろいろでてきて楽しい2巻でした。元興寺は絵はぐわごぜに似ていますが、なんだかいろいろ混ざっているような…。まあ読めばわかりますよ。

1巻で話のノリに慣れてきて、3巻ほどハードな展開がなかったせいか、個人的に一番のん気で面白かった巻です。


鬼太郎国盗り物語第3巻感想

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鬼太郎国盗り物語 3 (3) (角川文庫 み 18-15)

第3巻も9本の話を収録(妖怪大相撲、ムーへの道、かめおさ、魔道師、天空船、万年グモ、ムーの首都へ突入!、大決戦前夜、さらば鬼太郎!! )。最終巻です。

唐突にに沖縄で相撲大会。ベアードと鬼太郎が相撲をとります。次々と日本の妖怪を倒して勝ち上るベアード。「日本の妖怪もたいしたことないネ」。負けるな鬼太郎!

なりゆきで地下世界へ向かって、ムーの首都をめざす鬼太郎たち。打倒!ムーの悪総理大臣。側近はアニメ「悪魔くん」にも登場した歯痛殿下。結末に向かってハードな展開も増えますが、そこは鬼太郎なのでどこかユルいです。

ガイコツ船長との戦いはツッコミどころが多くて笑えました。手下の「船長 宝物をうばうことがわれわれにあたえられた天職です」のセリフ、某ジャンプマンガではありえないノリです。

「ビビビビン」「フハッ」というなつかしい表現も健在。

意外な事実も登場。目玉おやじにすっかりだまされました。そういうのは伏線をはっておくものですが…鬼太郎だからまあいいか。いつもどおり力技のラストです。それでも文句がでないのは、漫画家の力量ですね。


ゲゲゲの鬼太郎 関連本感想

  1. アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎完全読本
  2. アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎 妖怪事典感想
  3. アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎マニアックス
  4. おい! 鬼太郎 甦るゲゲゲの鬼太郎80’s
  5. ゲゲゲの鬼太郎解体新書
  6. フィギュア王「ゲゲゲの鬼太郎特集」

ゲゲゲの鬼太郎5期

  1. 鬼太郎マガジンvol.1
  2. 鬼太郎マガジンvol.2
  3. 鬼太郎マガジンvol.3
  4. アニメージュ「設定資料FILE ゲゲゲの鬼太郎5期」
  5. アニメーションノート「ゲゲゲの鬼太郎」「墓場鬼太郎」
  6. 怪vol.22「ゲゲゲの鬼太郎大特集」
  7. ゲゲゲの鬼太郎 5期情報

ゲゲゲの鬼太郎 データ集

  1. ゲゲゲの鬼太郎 1期 スタッフ・声優・全話タイトル
  2. ゲゲゲの鬼太郎 2期 スタッフ・声優・全話タイトル
  3. ゲゲゲの鬼太郎 3期 スタッフ・声優・全話タイトル
  4. ゲゲゲの鬼太郎 4期 スタッフ・声優・全話タイトル
  5. ゲゲゲの鬼太郎 5期 スタッフ・声優
  6. ゲゲゲの鬼太郎 5期 全話タイトル

原作漫画感想

鬼太郎の原作漫画シリーズの感想をまとめていこうかと。いきなり変り種からです。

  1. 鬼太郎国盗り物語全3巻感想

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