「スチームボーイ アドベンチャーブック」というからゲームブックかと思ったらガイドブックでした。A4ワイドの大きな本。メイキング資料と作品解説が多めで、あらすじは簡単にまとめられています。
キャラクター設定資料(線画)、レイアウト、本編画像と簡単なあらすじ、背景美術ボード、そしてメカ設定資料少々。絵コンテ抜粋。そしてスタッフインタビュー。ムックに期待されるものがまんべんなく載っています。
ちなみにこの本と対になる「スチームボーイ メカニカルブック」というのが工場や歯車メカ、飛行船からスチーム城などメカ系の設定線画集。絵コンテ集も別途発売。
ついでに「THE ART OF STEAMBOY - アート オブ スチームボーイ」という本が別にあって、これがどうも背景&イメージボード美術集らしいのです。私は中身をみたことがないのですが。
そんなわけで、この「スチームボーイ アドベンチャーブック」の見どころは、キャラクター設定画とロケハン写真集、スタッフインタビューかな。
ただ…言いにくいのですが、キャラクター設定画(決定稿)の量は公式サイトに負けてます。
パイロット版の初期ラフデザイン、大友克洋監督のラフデザイン、外山達也さんのキャラクターデザイン決定稿と、決定までの資料を過程ごとに載せているので決定稿自体は少ないのです。
むしろ公式サイトのキャラクター設定資料(設定線画)が充実しすぎているんですよ。普通はあんなに載せないものです。
でもこの本にある大友監督ラフやレイアウトもよかったし、外山さんのパイロット版レイやロイドがマンガ風で面白かったですよ。
94年に作られた企画書の文章と絵(どちらも大友監督)も興味深いです。ストーリーよりも映像について多く語っているところが大友監督らしいかも。
木村真二美術監督の描くイメージボード、ストーリーボードが緻密でスゴイ!「鉄コン筋クリート」の時とはまた違ったスゴさです。
美術ボードもわりと載っているので要チェック。
「アート オブ スチームボーイ」はハードカバーの高めの本なので、「ちょっと手が届かない」という人はとりあえずこの本で雰囲気だけでも楽しみましょう。
メカ設定もそれなりにあるのですが、メカの線画は「スチームボーイ メカニカルブック」の方がずっと多いです。メカをがっつり見たい人は「メカニカルブック」の方がいいでしょうね。
それからプロット作成時に作られたという「スチム家年表」は必見。物語がより深く楽しめます。
個人的にはマンガとイギリスの万博博覧会の歴史的解説はいらなかったかな。その分もうちょっと「スチームボーイ」の資料が見たかったので。
スタッフインタビューはデジタル作画の技術的解説やデジタル系のスタッフ座談会が詳しいので、そちら方面に興味がある人によさそうですよ。
- タイトル:スチームボーイ アドベンチャーブック (KCピ-ス)
- 出版社・発売時期:講談社(2004-07-15)
- ページ数:143
- 総合評価:
内容紹介
- アニメ映画「スチームボーイ」のガイドブック
- スチム家年表
- 本編画像とストーリーダイジェスト
- キャラクター設定資料集(線画)
- メカ紹介(カラー設定画、美術ボードなど)
- イギリス・ロケハン
- 声優インタビュー(鈴木杏(レイ)、小西真奈美(スカーレット))
- スタッフインタビュー(大友克洋監督、村井さだゆき(脚本)、木村真二美術監督、橋本敬史エフェクト作画監督)
- 万国博覧会とイギリス
- マンガ「スチームボーイ外伝」(作:トニーたけざき)
- デジタルワークス(主に3DCGについて)
- デジタルワークス座談会
- …etc.
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