劇場版アニメ「アタゴオルは猫の森」にあわせて発売された「ヒデヨシのおもちゃ箱」。てっきりアニメ中心なのかと思いきや、原作中心でした。現在「アタゴオルは猫の森」連載中のコミックフラッパー編集部編だから仕方がないのかも。

約190ページのうち、アニメに関しては24ページほど。スタッフや声優さんのインタビューなどはなくて、簡単なストーリー紹介(ラストはわからず)とキャラクター紹介・美術集くらい。

キャラクター原案が福島敦子さん(ゲーム「ポポロクロイス物語」シリーズが有名)なのに、掲載されている初期設定画は白黒だったり、小さかったりと扱い悪いです。

でも今まで企画されたアニメのパイロットフィルム(いずれもお蔵入り)やCMの画像集も小さいながら紹介されているのでそのへんは親切。

日本アニメーション、グループタックのパイロットフィルムなんてあったんですね。デジタルフロンティアのパイロットフィルム(アニメ映画「時をかける少女」監督の細田守さんが橋本カツヨ名義で担当)は、一時期ネットで公開されていたので見覚えある人もいますよね。

一番ページをとっているのはますむらひろしさんのアタゴオル・イラスト集「星街画廊」。コメント付ですが、よくありがちな「当時の思い出コメント」とは一線を画したコメント。強いて言うなら「こういうイメージで描きました」コメントなんですけど、独特の語り口ですね。

イラストの初出一覧がないのですが、「ハウスシチューの新聞宣伝用」「日産の新聞広告用」とコメントされている絵もあって、わりとレアなイラストが混じっているのかもしれません。

ますむらひろしさんの制作風景の写真(お宅訪問風)やアイディアノートも古参ファンにはうれしいかも。大学ノートに描かれたアイディアスケッチと完成原稿との比較もあるし、旅行スケッチ集(スペイン中心)もいいですよ。

関連グッズ集もよかったです。原作が長いし、思ったよりたくさんアタゴオル・グッズが発売されているんですね。岩手県経済連、千葉県野田市、米沢市が作ったグッズや、日産自動車、ハウス食品などの企業グッズまで載っています。

対談集や考察集は、コミックフラッパーやスコラ社の漫画文庫の再掲なので、最近ファンになった人にはいいかもしれません。

原作の用語集も単語と説明だけではなく、何巻の何ページに載っているものか書かれているので「最近物忘れが…」といううっかりさんに親切ですよ。「アタゴオル玉手箱」をちょっとかじった程度の私にも親切でした。


全体的に見た感想としては、「アニメからアタゴオルに興味を持った人向き」というよりは「中途半端な時期からアタゴオルに入った人が基礎知識をつけるための本」という印象ですね。

原作のストーリー紹介はないけど、本の刊行年代記や用語集からアタゴオルを追っていくことができるので、これからアタゴオルのコミックを読む人の道しるべ的内容にかんじました。

便箋もついているので、それなりに値ごろ感はありますよ。

アニメ資料目的ならおすすめしないけど、原作好きなら楽しい本ですね。

タイトル:ヒデヨシのおもちゃ箱―アタゴオルコンプリートブック
出版社・発売時期:メディアファクトリー(2006-10)
ページ数:188
総合評価:4

内容紹介

  • 「アタゴオル物語」のガイドブック
  • ますむらひろしアタゴオル・イラスト集(コメント付)
  • アニメ映画「アタゴオルは猫の森」初期設定資料・背景集
  • ますむらひろし制作風景・アイディアノート
  • ますむらひろし旅のスケッチ集
  • アタゴオル年代記
  • アタゴオル作品リスト
  • アタゴオル関連グッズ集
  • よしもとばなな・まつむらひろし対談
  • ますむらひろし・松岡コミックフラッパー編集長対談
  • アタゴオル考察(天沢退二郎、谷村浩子、竹宮恵子、よしもとばなな)スコラ社刊の「アタゴオル」に掲載された文章の再掲
  • 用語集(博物誌・紳士録・地名辞典・グルメガイド)
  • …etc.

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