アニメ「つり球」の内容そのままノベライズ(小説化)した小説「つり球」。「つり球 SF -Short Films-」とは違うので、お間違えなく。

アニメのシリーズ構成を担当した大野敏哉さんが、自ら筆をとっただけあってアニメ「つり球」そのまんまな内容です。

脚本集ではなくて、アニメの内容を小説化したものなのでセリフなどは微妙に違ってるのかもしれません。でも、かなりそのままな印象を受けました。

アニメより心理描写が鮮明になっていて、わかりやすいと思います。

小説はアニメと違って、映像も声の演技もありません。だからキャラクターの心情も文章で説明してあるわけです。

たとえば夏樹の父・保っちゃんと夏樹の軋轢。

夏樹のわだかまりの原因は、夏樹の気持ちが言葉で説明されてなくてもアニメを見ればだいたいの想像はつきます。

現実の会話でも、他人のモノローグなくても状況やセリフから心情がだいたい想像できるようにね。

でも小説では、アニメよりはっきり夏樹の心の内が描かれてました。ほぼ想像通りだったけれど、細部はやや違ってたので「なるほどね…」と。

そういう意味では、脚本家が描きたかったキャラクターの心情をよりよく理解したい人は読んでみるといいでしょう。

とはいえ、それ以上のオマケ情報とかサプライズ情報はありません。

アニメを全話じっくり見て理解した人が、新たな情報を期待して読むものではないと思いますよ。

この本は、

  • 1.アニメ「つり球」未見の人が物語を知るために読む
  • 2.アニメ「つり球」視聴済みの人が、キャラクターの心情をより詳細に理解するために読む
  • 3.アニメ「つり球」のストーリーが好きな人が、手軽に何度もプレイバックするために読む

という目的としてはいい本だと思います。

私は3番のアニメ「『つり球』のストーリーが好きな人」なので、この本かなり読んでて楽しいです。もちろんアニメ「つり球」はアニメとしての魅力がありましたけど、それとは別腹。

下手したらBLになりそうなところを、ギリギリのところで健全な高校生男子の友情物語でまとめてるあたり絶妙に上手いと思います(笑)。

コミュ障の「ぼっち」くんの、甘いだけじゃない友達作りと成長のストーリー。さらに地球も救っちゃう(笑)。作り話としては、上手いこと話を転がしてます。甘さと苦さのバランスが上手い。笑いあり涙ありの人情話。

BL好きの人たちも、「こういうの好きでしょ? 」的に作られた制作側の下心ミエミエのストーリーより、このくらいの健全さの方が妄想できて楽しいのでは?

タイトル:つり球 (文庫ダ・ヴィンチ)
出版社・発売時期:メディアファクトリー(2012-08-10)
ページ数:473
総合評価:5

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