地球へ…OP修正原画・設定資料集 感想

まずOP1、2のカット集（実際放送されたキャプ詰め）。大丈夫なのか!?と思いましたが「あとででてくるOP修正原画と比較してね♥」という引用かと思います。後付にコピーライト表示もあるし、編集後記からもそのあたりはクリアしていることが読み取れます。

次にキャラクターのカラー設定（ミュウ側のみ）。結城信輝さんのコメントがついています。絵は各キャラ全身前のみ。商業誌のムックにのるカラー設定画と違って、カラーペンで色をつけたものです。このにじみかたはコピックかな？

たぶん、色の組み合わせを試行錯誤するのに使った資料なんだと思います。だからカラー設定ではあるけれど、コスプレ服作りなどの資料として使うというにはやや微妙かも。

最後にイラスト2点と色紙イラスト1点。イラスト2点のこの構図は…CDゲフンゲフン。そして事情説明。

そんなわけで、見たことがある絵がほとんどです。目新しい絵を期待している人はややガッカリかも。

「地球へ…」のOPは「endscape」「JET BOY JET GIRL」の2本あり、その2つに使われたオープニング映像の修正原画集です。ページは白黒鉛筆画。

アニメの原画というのは動きのキーポイントになる絵です。たとえば「握っている手を開く」という動作アニメだと「握っている手」「開いている手」の2枚が原画（実際はもうちょっと細かいですが）。その途中の動きの絵は「動画」になります。

修正原画とは、原画担当さんが描いた絵が設定画とブレがある場合、絵を統一するために似ていないところだけ修正した原画です。赤ペン先生みたいなかんじですね。

修正の度合いは状況しだいで、「髪の動き」「目だけ」などの部分修正から、構図の修正まであるみたいです。 今回は本にするため部分修正分は除いて、比較的「絵」としてみられるものをセレクトしているように見えます。

OPの尺の都合上省いたカットなども少しありましたが、基本的にOPとして放送された画像の鉛筆画。目新しい絵は少ないし、あくまでも「素材」的なものですよ。

カットによっては結城信輝さんのコメントもついていますが、さほど多くはありません。

この本が結城信輝さんの個人誌であることを考えればわかりますが、アニメ「地球へ…」の中で結城信輝さんのお仕事範囲の設定資料集です。

結城さんの肩書きは「キャラクターデザイン」。つまりキャラクター設定以外の設定画はありません。詳細なキャラクター・データページもありません。絵のみです。

載っているのはキャラクター設定（影付き）、ラフ設定。データ集はありませんが、設定画にキャラクターの年齢や身長がメモされてものがあるのでその程度はわかります。

各キャラクターのデザイン面での結城さんのコメント・解釈も少し載っています。絵は全てモノクロです。

決定稿以外の初期設定画はマザーイライザのみ数パターン。

ラフ設定は一部のメインキャラのみ。全員分ではありません。キャラクター設定とは微妙に異なる表情（どれもそうだとは限りません）が載っているラフ設定があるのはうれしいですね。ホントにささいなことなんですが。

ただし絵のほとんどはアニメイトの「地球へ…設定資料集」で見ることができるものです。

アニメイトの設定資料集と絵の量的に比べた場合、簡単に言うとこの本のメリットはキースはヒヨコから閣下まで、レイチェルなどの後半登場キャラも載っている程度かな…。

この本を見て、このアニメほとんど着たきりスズメ、服装に変化が多いのはキースくらいということにあらためて気づきました。 正直、設定資料集に関しては「もっとあるのでは? 」と思っていたので肩透かしでした。

雑誌などの版権イラスト作成用に描かれたラフイラスト。白黒の鉛筆画ラフです。結城さんの他の同人誌を知っている人に説明するなら「『ANVILI～III』みたいな内容」。

絵は見れば「ああ、あのイラストのラフね」とわかる絵がほとんどです。

没イラストが何枚かありますが、没になった理由がわかる（アピール力の低い構図…）なので、一般の人にはあまりおススメではないかも。

「結城信輝さんファンで、鉛筆ドローイングも大好き!!!」という人にはうれしい内容だと思います。このページが一番うれしくて、次が設定資料集、という私でした。

ここまでが、この本の内容についての感想。アニメイトの設定資料集との違いをもうちょっと知りたいという人のために次にまとめてみました。

この同人誌のよい点は「結城信輝さんが描いたキャラクターの設定画が全部ある安心感」「ラフ設定がある」「少ないけれどカラーページがある」「印刷がいい」の4点。

アニメイトの設定資料集は「ナスカ以降の設定画がない」「14歳キースや回想時・若ブルーの設定画がない」などいくつか抜けている絵があります。それに対してこっちは同人誌なので結城信輝さんが「出してもいい」と判断した絵はラフ設定も含めてページ数が許す限り載せているのだと思います。結城さんの以前の同人誌でもそういう印象ですから。

そして印刷がいいこと。鉛筆の線がきれいにでてます。版下がいいのか、紙の問題なのか…? 再現性が高いというのかな。アニメイトのは紙・画質ともにコピー機で印刷したようなものなので、線は完全につぶれてます。実際にアニメーターが使う資料レベルです。

それに対して、アニメイトの設定資料集のよい点は「絵が大きい」「背景美術が載っている」。

アニメイトは横、同人誌は縦という違いはありますが、本はどちらもA4サイズ。ただし、同人誌の方は1ページに2枚の設定画。絵の大きさはアニメイトの勝ち。 それから背景美術は結城さんの仕事じゃないので同人誌には載っていません。

アニメイトの設定資料集は純粋に「アニメ『地球へ…』の絵を描くための資料」で、この同人誌の設定資料は「結城信輝さんの『地球へ…』鉛筆アートワーク」という位置づけかな。

今回ちょっと感じたのは、アニメイトの設定資料集は絵の量的にわりといい仕事をしていたということ。

キャラクターの決定稿はほとんどアニメイトの設定資料集に載っています。たとえばブルーの決定稿で載っていないのは成人検査・若長老たちとの集合絵（上半身のみ）の2枚だけでした。

ちなみに値段もアニメイトの設定資料集の方が安いですよ。