今回はルパンと次元の初顔あわせ。5話の次元は声がお疲れ気味で、アクションシーンだとちょっと違和感ありましたね。動きの少ないシーンでは問題なしでしたが。

2話「.357マグナム」で殺し屋廃業した次元。先の見えない虚無感のまま、背に腹は変えられず墓泥棒へ。

同じく泥棒には飽きていながらも生きることの意味を手放していないルパンとの出会いで、次元もまた生きることへの意欲を取り戻していくと言う話。

今回はインディージョーンズちっくな遺跡泥棒話で、そこそこ見せ場的アクションあり。わりとよかった回でしたよ。

LUPIN the Third -峰不二子という女- 第5話「血濡れた三角」感想

「私が欲しいなら…」と不二子にあおられてピラミッドに「紅い羽を持った笑い孔雀」を盗みに行くことになったルパン。

冒頭のプールでの不二子の全裸水泳シーンで、本日の全裸&乳首ノルマ終了。

不二子に贈ったアレキサンドライトという宝石でできたバラはこのあとの展開の複線でもあり、ストーリーを転がす小道具でもあり。上手いですね。

アレキサンドライトは日光の下では青く、夜の火やろうそくの下では紅く見える。これ実際そうらしいです。青緑と赤に見えるそうです。

クリソベリルの中でこの色変化があるものだけを、アレキサンドライトと呼ぶのだとか。産出量が少なく、稀少ゆえに貴重で高価。

「巨万の富をもたらす」という言い伝えつきの「紅い羽の笑い孔雀」。たしかに不二子が大好きそう(笑)。

一方、次元もその頃船でピラミッド近くの港へ。一般人からはいかにも堅気じゃない男と白い目で見られ、仕事もなく、あてもない。

うっかり「罪の重さを量る」という「死の審判」に誘う少年(声:矢島晶子さん)の言葉にのってしまったがために、即荷物を置き引きされる。しかも相手は猿(笑)。

矢島晶子さんといえば、「クレヨンしんちゃん」のしんのすけ。どこの国でもしんちゃんは「やんちゃ」ですなあ。

2話「.357マグナム」では「俺の過去、俺の命」とまで言い切ったマグナムを即売り飛ばそうとする次元(笑)。

まあ殺し屋廃業なら、もうマグナムは必要ない。換金できそうなものはもう残ってないから、これは妥当かと。

しかし現実はさらに厳しい。

老婆:こんな使い古し、いくらにもならんよ。
それに、これがなくて生きていけるのかい?
どう見ても堅気になれないよ、あんた

老婆(声:京田尚子さん)に言われちゃしょうがない。ベテラン声優の応酬です。

そのかわりに老婆に紹介された「面白い仕事」がピラミッドの「紅い羽の笑い孔雀」。ピラミッド入り口の古井戸の位置と「紅い羽の孔雀は巨万の富をもたらし、青い羽の孔雀は死をもたらす」という言い伝えとともに。

というわけで、次元はピラミッドに潜入。当然先に来ていたルパンと鉢合わせ。

ルパン:何を盗みに来た? 答えによっちゃあ…
次元:孔雀、と答えたら?
ルパン:最悪だ

当たり前のように撃ち合いへ。

ルパン:銃を下ろしな。マグナムの7発目なんて聞いたことねえ
次元:ワルサーの10発目もな!

はい、肉弾戦突入。トラップ発動で決着がつかず、ルパンの生死は不明。結果的にピラミッド内部へは次元が先行することに。

さらに墓泥棒避けの罠をくぐりぬけつつたどりついた先で、次元に襲いかかり来る巨像。

銃で応酬するも、なぜか通常の銃弾より威力がある!? 思わず銃を見つめる次元。ところがラスト1発が通常弾だったらしく、危機一髪でしたがなんとか先へ。

そしてたどりついた部屋にはまたまた罪の重さを量る天秤が(笑)。そこへ背後からルパン。

次元の銃弾をすりかえたのはルパン。とはいえ、棺の開け方はわからなかった模様。「死の審判」について説明する次元。

ルパン:罪が重いか軽いかなんて神様に裁かれなくたって百も承知で生きてんだろ?
(中略)
次元:どっちにしたって先が見えねえ話だな

弱音くさい気持ちを吐露する次元に対する、この後のルパンの返事。なかなかいいじゃないですか。人生は軽く考えてはいけないけれど、難しく考えすぎるほどのものでもないのです。

そしてルパンが天秤に重りをのせると…なんと羽と重りがつりあった!?

次元はこのあとアリ地獄でルパンと対峙したときに

次元:あいにく俺も死に急ぐ気がなくなった、あんたのおかげかもな

と言ってましたが、これはたぶん先程のルパンの返事と、重りをのせた事を指しているのだろうと思います。

「先が見えない事」を理由に動かない次元と、「先が見えない事自体を楽しめばいいのでは? 」と軽くいってのけるルパン。

次元は少年と「死の審判」をやってみたときには釣り合わなかった。だから「(今回も)無理」と天秤に重りをのせようともしなかった。けれどもルパンはのせた。その結果、天秤は釣り合った。

そう、人生は先が見えない。前回釣り合わなかった天秤が、今回は釣り合う。見えない先を気にして進まないのはどうかしてる。たぶんこれに気がついたことで、次元は「死に急ぐ気がなくなった」のでしょう。

棺の蓋が開いて出てきたものは、毒サソリ満載のミイラ。もちろん即座に別の罠発動。

結局二人ともすり鉢状のアリ地獄へ落下。アリ地獄を見下ろす安全な場所に、別ルートから入った不二子登場。

次元:お前、あのときの
不二子:あら、へなちょこマグナム。よーく覚えてるわよ、下半身は
ルパン:なぬ、お前まさかこのマグナム野郎と
不二子:心配ご無用。あそこはちっともマグナムじゃないのよ。ねえ、ヘナチョコ君?

そっち方面の経験豊富な不二子に人前で「あそこはちっともマグナムじゃないのよ」とか言われたら、凹みますね(笑)。こればっかりは他人に見せて証明するのも難しいし。

アリ地獄の中央の穴に人間が落ちれば罠は停止。落ちた人間の血が、孔雀の絵を赤く染めたら「紅い羽の笑い孔雀」が手に入る。

二人のうちどちらかの犠牲が必要。「助かりたければ、次元を落とせ」とルパンに告げる不二子。

ルパン:おい、へなちょこ
次元:けっ!
ルパン:峰不二子と何があった?
次元:何もなかったからご不満なんだろ

ですよねー。結局次元は不二子の誘惑にはのらなかった男。敗因は「不二子の目の前で隙を作ったこと」であって、その隙も不二子が自力で作り出したものではない。

たまたま不二子がラッキーだっただけ。ある意味不二子の負け。「試合で勝って、勝負で負けた」みたいな。

それにあそこがヘナチョコだったという事は、マグナムではなかったという事は…不二子じゃダメだったという証拠(笑)。耳なめとかしてがんばってたのに。「落とせなかった男がいた」という意味ではご不満かも。

現在進行形で落下中の会話。どちらかが死ぬというのに余裕綽々です。

お互いに銃を向けながらの会話。今度こそ決着がつくのか!?

孔雀の絵の側で待つ不二子の耳に届く銃声。

宝が手に入ることを確信していた不二子が見た、絵に注がれた血の色。それは青。

サソリの血は青。部屋に入ってくるルパンと次元。ルパンたちと一緒にアリ地獄に落ちたミイラの中の毒サソリたちの血。

もうここらへんでラストの展開が読めますね(笑)。

部屋の壁が動いて出てきたのは、巨大なアレキサンドライトで作られた紅い笑い孔雀像。狂喜する不二子。

しかし孔雀像を手にしたとたん、新たなトラップ発動。たくさんの巨大グモたち登場。火を使って撃退するものの、建物に火が燃え移り、脱出することに。

出口には鍵穴があり、その形は…笑い孔雀(笑)。

ルパン:あきらめな。富をもたらす紅孔雀はこのピラミッドの中にしかいないのさ

日の光を浴びることのないピラミッドの中では、笑い孔雀は常に赤。でも外へ持ち出せばその色は青に変わる。

青い絵の孔雀を見て、鍵として使わなければピラミッドから出ることはかなわずに死ぬ。

たとえ別ルートで持ち出せたとしても、それは日の光の下で色が変わった青い色の孔雀。巨万の富をもたらすという笑い孔雀を持つ者は、多方面から命を狙われ、いずれは…。

という2つの意味があるのかも。

どちらにしても、持ち出した時点で「巨万の富をもたらす笑い孔雀」ではなくなり、「死をもたらす青い孔雀」になるわけで。縁起わるーい(笑)。

結局、笑い孔雀をあきらめて外に出た3人。立ち去る不二子。

三度目の正直で決着をつけようとする、ルパンと次元。

1回目は最初の撃ち合いでコウモリとトラップに邪魔され、2回目はアリ地獄でサソリを撃って回避。

さすがに3度目はと思ったら、今度はよりによって生きてる孔雀の鳴き声で邪魔される二人。気がそがれて、決着は先延ばし。

ルパン:覚えとくぜ、へなちょこ
次元:次元だ、次元大介
ルパン:そいつは覚えてる自信がねえ

ここからラストへの余韻もいいですね。今回の脚本は大西信介さん。「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」で探偵初登場回や、銀の過去回、黄の過去回なんかを担当してた人。どれも話の立て方が上手いと感じました。

今日の話でも、アレキサンドライトを小道具にどんどん話が転がっていく点、人の罪を裁く「死の審判」と次元の虚無感とルパンとの出会いを絡めた虚無感からの脱却の流れとか、しっかり話が組み立てられてます。

「マグナムの7発目なんて…」というセリフも、一見くどいし、ただの雰囲気セリフのようにも聞こえます。が、弾数を意識させることで、その後のルパンの銃弾のすり替えとそれを使った次元の行動が、話として自然に見えるしわかりやすい。

映像だけでは気づきにくい点は、補足程度に言葉をちりばめて注意を引く。これがわかりやすさに繋がるのでしょう。

1話の中で小さなエピソードを積み重ね、それらが過不足なく繋がって、きれいに話を収束させる。このへんは上手いなあと思いますよ。

ルパンと次元の会話も気の利いたやりとりで好きです。

今回の不二子も強欲かつクールでしたね。お宝のためには他人の命を犠牲にすることもいとわない冷酷さ。

不二子:お宝は私を飾ってくれる。盗めば盗むほど私は特別な存在になってく

モラル的にも順法精神的にもダメすぎるセリフ(笑)。

最終話で登場する「封印した記憶」の影響か、もともとこういう女なのか。はっきり線引きできないもどかしさもありますが、物事に対する人の感情は一つではありませんから。

それが人間の面白さでもあるので、こういう描き方もアリだと思います。

あと次元がピラミッドの中で、梟(フクロウ)の絵に悪態をついてましたね。まさかこの遺跡までアルメイダの手が回って…?

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