企画書の発売…いきつくところまできたカンジの「電脳コイル」。企画書っていったら、裏資料の最たるものですよね。初期設定・イメージボード・ストーリーボードなどいろいろ紹介されていて、磯光雄監督の初期案「電脳コイル」がわかります。
一応1話から最終話までの物語のプロットが絵付きでプレゼンされています。でもこの企画ストーリー、新世紀エヴァンゲリオンの企画書とアニメ本編がものすごく乖離してたのと同じくらい、電脳コイルの企画書とアニメ本編は違ってますよ。既にアニメ雑誌などで磯監督が語っていたと思うけど、ほとんど別の物語ですね。
ヒゲ・イリーガルの話は企画書段階からあったのね…と思ったらストーリーボードの絵が…。やっぱりアニメのヤサコの方がかわいいわー。
キャラクターの性格設定やデザイン画も、完成したアニメ本編とはかなり違ってます。ハラケンの見た目がかなり違うし、オバちゃんや猫目がいない(想定されてない)し。それにミチコさんが…。
ミチコさんの名前が漢字になってましたよ。「都市伝説っぽい音(「読み」というか「響き」)で「ミチコ」と決めたのかなー? 」と勝手に想像していたけれど、この漢字をみるかぎり「(単語の)意味」でつけてたんですね。そのまんまだー。
初期サッチー怖っ!! 筋肉マッチョで口が…口が…。パッと見、テレビ版エヴァンゲリオンの白いアダムに似てるような似てないような? 今だったら、「2009年公開予定の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』に登場する真・アダムのデザイン」と吹いたら、アニメに詳しくない人なら10人中3人くらいが騙されてくれそうな微妙なサッチー・デザイン。
完成版の丸っこいプリティで明るい色づかいのサッチーと比べると「アニメ制作が共同作業でよかった…(キャラクターデザインの)本田雄さんグッジョブ! 」と思いました。
原案だから、いい意味でも悪い意味でも磯監督の妄想的なイメージが爆発してますね。企画途中で消えた設定もいくつか紹介されています。ダディとココイルの設定とか、オヤジギャグ好きの下ネタですよー。
あと妙に気になったのが、フミエの電脳ペットのオヤジ。パンツはいてる設定画が…。いろいろ迷った挙句「はいてない」キャラになったのか!?という意外な事実が判明。このデカパン・キャラでもよかった気もする…白ブリーフはダメすぎるけど。
それから、企画書作成後に監督がプロットをテキストに落としこんだというストーリーが、2話まで載っていました。しかしなぜhtml形式で作成? 何に使うつもりだったのか気になったり。
ついでに「今『電脳コイル』に投資する理由」キター!! きましたよ、売りこみ企画書っぽいページが。内容がイマイチ押しが弱い気もするんですが、企業のお偉いさん相手だとこのくらいあっさり風味な方がいいんでしょうか。宮崎駿さんとか出崎統さんとかの押しの強い文章と比べると、かなりあっさりしてますね。
まだまだキャラが薄い!と思ったけど、「初めての監督」だから大人しい方がいいのかな。
内容にさほど不満はないけれど、あえて難点をいうなら…もしハードカバーにしたせいで値段が上がったのなら、ソフトカバーの方がよかったかな。
装丁がかもしだす本全体の雰囲気はとてもいいけれど、買う人はどうせマニア。中身だけで充分勝負できそうなので、コストは下げてくれたほうが買いやすいと思いますね。
内容は充分楽しめました。といいつつ、まだしっかり読み込んでないのでざっと見の感想ですけどね。
- タイトル:電脳コイル企画書
- 出版社・発売時期:徳間書店(2008-10)
- ページ数:79
- 総合評価:
内容紹介
- NHKアニメ「電脳コイル」企画書とその途中で消えた設定集など
- 企画概要
- キャラクター原案集(初期設定集)
- イメージボード、ストーリーボード
- 企画段階での1話~最終話までのストーリー・プロット
- 企画書作成後プロットを文章におこした第1話、2話
- …etc.