小田部羊一さんのアニメーション画集キター!! ってずいぶん前の話ですが、今さらながら感想を。
画集というよりキャラクターラフ、キャラクター設定、原画などが中心です。「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」などはLD・DVDの表紙に使われたイラストなども載っていますけどね。
キャラクターラフはキャラクターデザイン決定前のラフですが、わりとカラーラフ画も多くていいかんじです。
全300ページほどのほとんどが絵・絵・絵。作品解説や原画の専門的な解説みたいなものはほとんどありません。各作品の冒頭に小田部さん自身の感想のようなものがあるだけです。巻末に7ページ「生い立ちと東映スタジオの頃」の文＆写真。そして略歴などはあります。
アニメーションの詳しい解説書・技法みたいな本を読みたい人向きではなく、どちらかというと小田部羊一さんのキャラクターデザインファン向きかなと。
「母をたずねて三千里」つながりでここに感想を書きますが、どちらかというと東映動画（現・東映アニメーション）系の「太陽の王子 ホルスの冒険」「空飛ぶゆうれい船」「どうぶつ宝島」あたりと、日本アニメーション系の「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」「龍の子太郎」「ピュア島の仲間たち」あたりが多いかなーという印象です。
個人的には「長くつ下のピッピ」「ピュア島の仲間たち」「じゃりン子チエ」のキャラクターラフや設定ががすごくうれしかったです。
以下、ちょっとくわしく個別感想。
- 母をたずねて三千里
マルコ、アメデオ、フィオリーナ、アンナ（マルコの母）などのメインキャラはキャラクタースケッチ（キャラクター設定前のラフ）がたくさん載っています。でもメインキャラのキャラクター設定画は載ってないんですよ。
メインキャラクターのキャラクター設定は「母をたずねて三千里（Newtype Illustrated collection）」でたくさん見ることができるから重複しないようにという配慮なのかも？
サブキャラや旅の途中で出会ったキャラ達のキャラクター設定はしっかり載ってます。こっちは「Newtype Illustrated～」とけっこうかぶってますけど仕方ないかも…。
LDジャケット用イラストも掲載されているのがうれしいですね。
- どうぶつ宝島
小田部さん担当部分のストーリーボードやセルなどが載ってます。ストーリーボードはほぼ絵コンテ的なかんじで、絵の空白部分に説明書きも書かれてますよ。
場面は
- ジムが牢に入れられてキャシーと出会うシーン
- 海賊会議のシーン
- 嵐の中のシーン
など。
アニメーション描画技法的（?）な波の習作がいくつかまとめて載せられていて、小田部さんの解説もちょっとついているので、興味のある人必見！
- 長くつ下のピッピ
高畑勲さん・宮崎駿さん・小田部羊一さんの3人がかかわっていたものの、原作者の許可が下りずにお蔵入りアニメになってしまった「長くつ下のピッピ」。
キャラクターラフスケッチやカラーのセルイラストなどたくさん。キャラクターラフは
- ピッピ
- セッテルグレーン夫妻
- ニルソン氏（お猿ですよ…）、馬ほかサブキャラ
このくらい。ピッピは非常にたくさん絵がありますよ。
- セレンディピティ（「ピュア島の仲間たち」）
たった8ページだけど濃い！「ピュア島の仲間たち」のキャラクター設定資料がこんなに見られるのはおそらくこの本だけ（笑）！
企画途中で制作中止→後に民放で、という流れだったとは知りませんでしたよ。NHKでやってほしかったなー。
以下、キャラクター設定やラフ一覧。
- コーナ
- セレンディピティ
- スマッジ船長
- アカナッツ
- ピラピラ
- テンテック族（グルンコ、ミンタ、ヤントロ）
- キレレーン族
- …etc.
スマッジ船長ほか一部ラフスケッチっぽいのですが、ほぼキャラ設定といっていいくらいの絵です。
名前が書いてない絵もあるのでキャラはうろおぼえなんですが、たぶんあってるはず…？カラスの名前忘れちゃいました（笑）。
残念ながらローラ姫は、身長対比図風の絵の中にだけ…。
小さく版権イラストが1枚載っているのですが、これは「ジ・アニメ」か「マイアニメ」に載ったイラストだったような、違ったような…? とこっちもうろおぼえです。
このほかにも「太陽の王子 ホルスの冒険」の船出シーン、婚礼シーンの原画集など、ファンにはいろいろとうれしいものがいっぱい！
とにかくハードカバーのしっかりした作りの永久保存版。アニメに関してはかなりマイナーなものまで網羅されています。小田部羊一さんのファンなら、かなり満足度高いと思いますよ。
私も小田部さんのコアなファンとまではいえないけど、子供の頃から慣れ親しんできたたくさんの小田部さん関連作品を堪能できて大満足です。なつかしさでいっぱいです!!
- タイトル：小田部羊一アニメーション画集
- 出版社・発売時期：アニドウ・フィルム（2008-08）
- ページ数：299
- 総合評価：
内容紹介
- 小田部羊一さんのアニメーションスケッチ、ラフ、設定、原画など
- 少年忍者風のフジ丸
- 魔法使いサリー
- ひみつのアッコちゃん
- 太陽の王子 ホルスの冒険
- 長靴をはいた猫
- 空飛ぶゆうれい船
- どうぶつ宝島
- ながぐつ三銃士
- 赤胴鈴之助
- 長くつ下のピッピ
- パンダコパンダ雨ふりサーカス
- アルプスの少女ハイジ
- 母をたずねて三千里
- ネッティのふしぎな物語
- まんが日本絵巻
- 龍の子太郎
- じゃりん子チエ
- セレンディピティ（「ピュア島の仲間たち」）
- 「風」「冬の日」、任天堂時代の作品
- 「生い立ちと東映スタジオの頃」、略歴、あとがき他
- …etc.
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「アルプスの少女ハイジ」のキャラクターデザインは、「母をたずねて三千里」と同じく小田部羊一さんです。
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