ようやく読みました、アニメ「魔法少女まどか☆マギカ The Beginnign Story」。オリジナルアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」のテレビ版の全話シナリオ(決定稿)と、シナリオ0稿の一部紹介がメインの読み物。

ビジュアル本ではないので、縦18センチほどの小さめの本。基本的にモノクロページ。

カラーページは巻頭のイラスト2枚と後ろの方の32ページほど(キャラクター毎の名場面カット集と名セリフ集みたいなの)くらい。ただし後ろの32ページは月刊ニュータイプ2011年7月号の別冊付録を再録(一部差し替え)したものらしいです。

巻頭に載っている2枚の版権イラストのうち1枚が、公式ガイドブックに載っていないのがセコイ(笑)。初出が月刊ニュータイプの2011年12月号に掲載されたイラストです。

もうじき完全新作の「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆 の物語」が公開される「魔法少女まどか☆マギカ」。テレビ版を見たときには、「かなり計算して話を作ってるなあ」「よく動くなあ」という印象で。

「魔法少女まどか☆マギカ」に限って言えば、絵柄やビジュアルや設定にはあまり興味がなかった私。でもシナリオ本が出てるなら、読んでみたかったんですよね。

この本にはテレビ版の全話決定稿だけではなく0稿も載っているということで、初期案からどんなふうに変遷したのかと興味がそそられて。

読んでみた感想としては、ちょっと意外でしたがなかなか面白かったですよ。

というわけで内容紹介。

「魔法少女まどか☆マギカ」全話シナリオ(決定稿)

「魔法少女まどか☆マギカ」のテレビ版のシナリオ決定稿が1話~最終話の12話まで全て載ってます。

アフレコ台本ではないのでセリフが一部違ったりしますが、内容はほとんどアニメのとおり。というか、このシナリオを元にアニメが作られているので当然ですが(笑)。

ご存知の通り「魔法少女まどか☆マギカ」はオリジナルアニメなので、原作というものがありません。

ストーリーを見るには、DVDやブルーレイなどの映像を見るしかないわけです。でも見た後に、各話を振り返るにはこんなふうに本で読むのが便利ですね。

各話の解説は載ってません。各話の解説なら「魔法少女まどか☆マギカ公式ガイドブック you are not alone. 」に各話解説とスタッフの各話エピソードコメンタリーが載っているので、公式ガイドブックと合わせて読むといいかもしれませんね。

とはいえ「魔法少女まどか☆マギカ」のシナリオは、キャラクターの心情がわりとはっきり書かれています。

このシナリオを読むと「キャラクターはどういう気持ちであのセリフを言い、どういう気持ちで行動したのか」というのがより把握しやすいですよ。

「魔法少女まどか☆マギカ」にはそんなにわかりにくい心情描写はなかったと思いますが、アニメを見て疑問が残った人にはこのシナリオを読む方がよりわかりやすかもしれませんね。

「魔法少女まどか☆マギカ」シナリオ0稿/考察

3話「もう何も恐くない」、6話「こんなの絶対おかしいよ」、7話「本当の気持ちと向き合えますか?」、10話「もう誰にも頼らない」のシナリオ0稿と、その考察(虚淵玄さんのコメント等)が載ってます。

掲載されている0稿を読みましたが、0稿と決定稿で大きく変わったという印象はありません。

予定より1話へったということで、各話のエピソードの配分を変えたり、構成の入れ替えとか、削除などが主な変更ですね。

変更したことでより話が凝縮されたものもあれば、削らない方がより設定がわかりやすかった部分もあります。

それでも結果的には、全体として収まりのいい形に変えているのが上手いと感じました。

絵コンテと演出担当者の解説(約16ページ)

演出の芦野芳晴さん、笹木信作さんがそれぞれ担当した絵コンテ(1~4、6、10、12話)について、絵コンテの抜粋とコメントが載ってます。

掲載されている絵コンテの大きさは小さくて、文字などはほとんど読み取れません。しかも第1話などは絵コンテの後に決まった設定があるとかで、修正もけっこう入っている模様。絵もかなりラフと言うかアバウト。

劇場アニメと違ってテレビアニメの絵コンテはかなりラフなものですから、まあこんなかんじの絵コンテは珍しくはないです。とはいえ、印象的な場面の見せ方は上手いなあと思います。

演出担当者のコメントというか、インタビューは「魔法少女まどか☆マギカ」の演出についてけっこうしっかり語っているので、なかなか興味深かったですよ。

魔法少女という存在(カラー32ページ)

月刊ニュータイプ2011年7月号の別冊付録を再録した32ページ。

本編画像をたくさん使って名場面集と名セリフなどで綴ったもの。大きく載っているキャラクターの絵は、キャラクター原案の蒼樹うめさんの原案イラスト。アニメと違ってきゅうべぇの目に白目があるのが印象的。アニメイラスト風の2枚は、高橋美香さんのイラスト。

イヌカレーの魔女図鑑の絵も小さく載ってます。

新房昭之監督と虚淵玄さんのインタビュー(対談形式)

シナリオに関する新房昭之監督と虚淵玄さんのインタビュー。0稿と決定稿に関する話と、各話ごとの話。公式ガイドブックの考察やエピソードコメンタリーの内容とかぶっている内容もありますが、こちらの方がシナリオに特化した内容になってます。

とはいえ、新房昭之監督の「シャフ度」に関する公式見解(?)などもあって面白かったです。

3話に関して虚淵さんが「マミさんはヘタ打ったわけではなく、(お菓子の魔女との)相性が悪かっただけ」と強調してる感がなんとも(笑)。

個人的にはむしろ、あの場面はマミさんが若さゆえにヘタ打った感があったのですが。年下のまどか達からはしっかりした先輩キャラに見えつつも、実は年相応なところがマミさんの人間味であり魅力だと思うのですが。

たぶんマミさんのそういうところが「かわいい」と感じている大人は多いんじゃないかなー。

こちらが「スタッフがいろいろ考えて仕掛けてる」と思う部分が、実際はあまり考えられてなかったり、むしろ狙ってないところが話の面白さにつながっていたり。

「魔法少女まどか☆マギカ」は私にとっては、そういうギャップがいくつもあるアニメ。そこが面白かったのかな、なんてこのインタビューを読みながら考えてました。

魔法少女の話なのだから魔法のよさを肯定する結末になる、という虚淵さんの考え方にもちょっと驚きました。

正直「魔法少女まどか☆マギカ」に関しては「(子供達のために連綿と作り上げられてきた)魔法少女のフォーマットを利用して、上手いことやりやがって」的な思いもありました(笑)。計算かどうかは別として、こういうところをしっかり押さえているところが「上手い」と感じるのでしょうね。

以上。

インタビューや解説を読み終えた後も、シナリオはストーリーだけ見たい分には便利なので、けっこう何度も読み返してます。

シナリオはアニメのストーリーの設計図。シナリオを元に完成したアニメにしか興味ない人は、「完成したアニメを見れば充分」と思うかもしれません。

でも実際のアニメの映像と見比べて「シナリオに書かれている内容が、アニメではどう表現されているか」という視点で見ても面白いし、映像だけでは見落としがちな新たな発見があったりして面白いです。

「魔法少女まどか☆マギカ」の話に惹かれた人には楽しめる本だと思いますよ。

タイトル:魔法少女まどか☆マギカ The Beginnign Story
出版社・発売時期:角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-12-10)
ページ数:290
総合評価:5

内容紹介

  • 「魔法少女まどか☆マギカ」TV版全話シナリオ本
  • TV版全話シナリオ(決定稿)
  • 「魔法少女まどか☆マギカ」シナリオ0稿/考察
  • 絵コンテと演出担当者の解説(約16ページ)
  • 魔法少女という存在(カラー32ページ)
  • 新房昭之監督と虚淵玄さんのインタビュー(対談形式)
  • …etc.

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