スタジオジブリ絵コンテ全集17 借りぐらしのアリエッティ感想

「借りぐらしのアリエッティ」の絵コンテ読みました。私はド素人なので、絵コンテの良しあしについてはわかりません。でも素人なりに感じた事を書いてみます。

「崖の上のポニョ」の絵コンテ集はカラー(水彩で着色)でしたが、今回は他のスタジオジブリ絵コンテ全集同様2色カラー(影をオレンジ色で着色)です。

絵コンテは米林宏昌監督の手によるものです。37歳の新人監督とはいえ、「周囲から『ジブリで最も上手いアニメーター』と言われている」と新聞記事にも紹介されるだけあって、キャラクターの動きにはかなりこだわってるように見える絵コンテでした。

キャラクターの動き(動作に関する演技)がかなり明確にイメージされているし、小人の動きに関してはかなりのこだわりを感じる絵コンテ。さすがにプロですね。

身体的な動作に関しては、充分安心のスタジオジブリ感。

しっかり描きこまれている絵コンテがいい絵コンテとは限りませんが、素人の感覚としてはジブリ絵で描かれたジブリの絵コンテ本という風に見えます。

絵本的に見ても楽しいと思いますよ。

ただし、心情描写は上手くない気がします。今ひとつアリエッティや翔の心情がわかりにくい。

何を考えてるかわからないから、キャラの行動に前フリがなく唐突に見えます。アリエッティはシーンごとに性格が変わるような印象。

ロマンアルバムの監督インタビューで語られているキャラの心情が、演出からはほとんど読み取れません。むしろ「あれはそういう事を考えての行動だったのか!?」と意外にすら感じました。

絵コンテには場面場面におけるキャラクターの心情について、簡単な説明くらいはあるかと思ったのですが、そういうものもなかったです。そこはやや残念でした。

そして動きに関しては詳細に説明されているものの、キャラクターの表情は場面によってはわりとあっさりした描きこみ。

どちらかというとアクションが得意みたいだから、監督の次回作はそういう作品だといいなーと思いました。

スタジオジブリ絵コンテ全集17 借りぐらしのアリエッティ
  • 出版社・発売時期:徳間書店(2010-07-28)
  • ページ数:464
  • 好感度:(4)
  • 「借りぐらしのアリエッティ」絵コンテ完全収録本