かぐや姫の物語(ロマンアルバム)感想

目次

おそらく高畑勲監督の劇場用長編アニメとしてはラストになるであろう「かぐや姫の物語」。宮崎駿監督のラスト劇場用長編アニメ「風立ちぬ」もそうですが、徳間書店のロマンアルバムがこの2作品に関しては、かなり力を入れたロマンアルバムを出してます。

個人的には、「かぐや姫の物語」に関してはジブリのジ・アート本よりもロマンアルバムの方が見ごたえも読み応えもあると感じました。

ちなみに今回はロマンアルバムには珍しくA4横長の本でした。

「かぐや姫の物語(ロマンアルバム)」内容

ストーリーに関しては、ロマンアルバムでは毎度おなじみのフィルムストーリーは省略。カラーカットと説明で綴った6ページのストーリー紹介で簡単にまとめてあります。

劇場なり金曜ロードショーなりソフトなりで見ることができるものは省略して、制作者インタビューや原画集や背景美術等などをたっぷり載せて、この本ならではコンテンツに注力してるところがイイですね!!

ジ・アートよりもインタビューが充実してるし、原画や背景美術も充実。伊達にいつもより分厚い本になっているわけではないのです(笑)!!

作画 draft: false

内容ですが、まずは作画。作画担当者のインタビューと各者担当の原画集。キャラクターデザインはもちろんのこと、原画は原画担当者インタビューの内容にあわせてまとめた原画集。

人物造形、作画設計担当の田辺修さんのページでは主要キャラの初期スケッチ、初期の絵コンテも少し紹介されてます。翁や女童は全然違いますね。やはり女童は完成版がイイ!

原画は顔アップとか1枚絵的なものではなく、一連の動きの原画を載せているものが多いです。

インタビューが載っている作画・原画担当者は以下のとおり。

  • 田辺修:人物造形、作画設計
  • 小西賢一:作画監督
  • 橋本晋治
  • 浜田高行
  • 安藤雅司
  • 山口明子
  • 西田達三
  • 佐々木美和
  • 田中篤×廣田俊輔
  • 西垣庄子
  • 秦綾子

これ以外に、各原画担当者のインタビューページに入りきらなかった原画、レイアウトもまとめて25ページ掲載!!この充実ぶりはかなり見ごたえありますよ。

田辺さん、小西さん以外の作画インタビューのページはモノクロ。それ以外はカラーページ。なので原画はほぼモノクロで掲載されてると思っていいです。

美術や塗模様作画担当の原画はカラーでなので、それほど気になることはないかなと思います。

声優インタビュー

「かぐや姫の物語」声優インタビューは以下のとおり。

  • 朝倉あき(かぐや姫)
  • 宮本信子(媼)
  • 地井武男(翁)

主要キャラクター3人だけですが、これ以外に「かぐや姫の物語」完成報告会見レポート再録もあるのでわりといいかんじでした。

美術 draft: false

インタビューのある背景美術担当者は以下のとおり。

  • 男鹿和雄
  • 久保友孝
  • 倉橋隆
  • 工川歩
  • 高松洋平

「モノノ怪」の倉橋隆さんが参加してたんだなあと…。

言うまでもなく背景画集も充実。

あと、背景ではないですが、色指定とか撮影監督、CG担当者のインタビューもあります。

  • 垣田由紀子:色指定
  • 中村圭介:撮影監督
  • 中島智成:CG

各担当分野のビジュアル資料も掲載されてますよ。

高畑勲監督インタビュー他

高畑勲監督の「かぐや姫の物語 企画書全文」ももちろん載ってます。これを読むとより意図がはっきりしますが「細かい字で難しい話のような気がする…」という人には、高畑勲監督インタビューの方がわかりやすいかと思いますね。

高畑勲監督インタビューはかなり突っ込んだ内容もありました。

「『姫の犯した罪と罰』というキャッチコピーは宣伝的に意味があったとしても、監督にとっては少々迷惑だった」という話もしてます。インタビュー冒頭いきなりそこから攻めていくとか、さすがはアニメージュ編集(笑)。

高畑勲監督インタビューを読むと、実際に「かぐや姫の物語」映像を見ても感じるとおり設定も物語もかなり練りこんで作り上げられてますね。すばらしいです。

そして、西村義明プロデューサーのインタビュー。「かぐや姫の物語」が「ローマの休日」エンドにならなかった事について少し触れていたのが印象的でした。

私が思うに、一般受けを狙うなら「ローマの休日」エンドの方がよかったと思います。でもそれだと、高畑勲監督作品ではないような気がするのです(笑)。高畑勲監督ファンは、高畑勲節みたいなものを見るために劇場まで足を運ぶわけですよ。だからやはりこの終わり方でよかったと思うのです(笑)。

それ以外に、松本明子監督助手、吉川俊夫制作デスク、二階堂和美(主題歌)のインタビューなど。

特別対談「高畑勲×久石譲」は、読売新聞の広告特集の再録。読売とってない人には初見だと思います。

そしてロマンアルバム感想

毎度の事ですが、インタビューの内容に関しては圧倒的にロマンアルバムが強いです。

それに加えて、今回は原画や美術も充実した量が掲載されているわけですから、ロマンアルバムの圧勝ですよ。さっきも言いましたが、、伊達にページ数が多いだけではないのです(笑)!

アニメ好きや高畑勲監督ファンには、ロマンアルバムがいいと思いますよ。

かぐや姫の物語 (ロマンアルバム)
  • 出版社・発売時期:徳間書店(2014-02-17)
  • ページ数:183
  • 好感度:(5)