まだ創刊されたばかりで続くのかどうなのか不明の「MakingBox(メイキングボックス)」。副題に「アニメとマンガの制作現場」とついているように、アニメ・マンガのメイキング方面の本です。スタッフインタビューとか設定資料・原画・絵コンテ・3DCGメイキング画像などがメイン。
最近のアニメ雑誌はアニメの本数が多いから、限られたアニメしか特集できず資料もあまり載らない。けれども放送されるアニメ本編だけでなく設定資料・原画などに興味を持つ人が増えたということなんでしょうか?
でも、そういう資料に興味を持つ層は限られているから、同じような雑誌は何度か創刊されているけれど長続きしないのも現状。 「アニメーションノート」はわりと「資料を見たい層が気になっているアニメ」を取り上げることが多い印象で、ニーズの読みが上手い気がします。
「MakingBox(メイキングボックス)」は選択がやや微妙な気がします。この先生きのこっていけるのかな?
前説が長くなりましたが、「おおきく振りかぶって」の記事。カラー14ページ。スタッフ・インタビューとメイキング資料という構成です。
まずは水島努監督×アクション作画監督谷口淳一郎さん。話している内容はキャラベリーズと同じような内容ですが、もうちょっと詳しい話をしています。こちらの方がやや専門的な話かと。
メイキング資料は「おおきく振りかぶって」1話の水島監督絵コンテが数枚。 アクション作画修正からは巣山のバッティングカット。花井が走りながらボールをキャッチする一連のシーンのレイアウト→アクション作監修正→総作監修正→原画。阿部のバストアップカット、三橋の投球モーションカットなど。
キャラクター設定・総作画監督の吉田隆彦さんインタビューはキャラクターデザインの作業のこととか、総作画監督のお仕事などの話。
同じページに三橋のカラー・線画設定画(どちらも全身・顔アップ)や4話の三橋の顔アップやモモカンの身震いシーン原画集など。三橋の顔は作画監督修正→総作画監督修正→完成原画が載っています。作画監督修正画から総作画監督修正画でもかなり直されてますね。顔の輪郭とか髪型とか。やっぱり総作画監督は「(髪の)ここは外ハネか内ハネか」みたいなことまでかなり明確にイメージがあるんですね。
各話の作画監督のクセをどの程度許容するかは、アニメスタジオや監督によってもかなり違ってくるものなのね…と感心しました。
美術監督・渋谷幸弘のインタビューは「アニメーションノート」では出ていなかった話が多くてよかったです。インタビュー内容にあわせて、いろんな美術資料も載っています。 デジタル作業の話が興味深かったですよ。
最後に設定制作・高村江美さんインタビュー。設定制作は「アニメを制作するために必要な資料を揃えるお仕事」くらいに思っていいです。インタビューを読むとアニメ登場する小物の資料を集めたり、取材が必要ならスタッフのスケジュールを調整してセッティングしたりという仕事内容。制作進行と仕事内容がちょっとかぶってる気もするのですが、そのあたりは詳しくないので。
香盤表(調べてみたら演劇用語らしい)という聞きなれない表が載っています。こ、細かい。全カットからこれだけの表をつくるのは大変ですね。ほかにも応援席の人物位置とか、地味だけど間違えると視聴者にツッコミをいれられそうな資料がまとめられています。
インタビューはそれぞれわりとよかったので、メイキングに興味がある人は読んでみるといいですよ。
- 掲載誌、号:メイキングボックス vol.1
- ページ数:「おおきく振りかぶって」14ページ
- 総合評価:
内容紹介
- 水島努監督×アクション作画監督谷口淳一郎さんインタビュー
- キャラクター設定・総作画監督の吉田隆彦さんインタビュー
- 渋谷幸弘美術監督インタビュー
- 設定制作・高村江美さんインタビュー
- …etc.